【ポジション別検証|GK編】権田の無失点記録が途切れ、競争は再び横一線? 重視するのは経験か伸びしろか

2021年06月09日 元川悦子

「結局、いろいろなものが1試合で変わるのがこのサッカー界」と警戒心を保ってきた権田

A代表とU-24代表のGK陣。写真は左上から時計回りに、川島、権田、シュミット、鈴木、大迫敬、中村。写真:サッカーダイジェスト

 5月28日のミャンマー戦(千葉)で、2022年カタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選突破を決めた日本代表。しかしながら、2次予選は終わったわけではなかった。森保一監督は7日のタジキスタン戦と15日のキルギス戦(ともに吹田)で底上げを図り、自信を持って最終予選につなげられる基盤を作る必要があった。

 その一発目となったタジキスタン戦だが、A代表初先発の古橋享梧(神戸)、川辺駿(広島)、中谷進之介(名古屋)ら急造メンバーでスタート。前半はチームの連動性や強度が大きく低下する形となった。古橋が開始早々に先制点を奪うまではよかったが、バタバタした対応が続いてわずか3分後に右クロスからのヘッドを許し、今回のW杯予選初失点を喫したのだ。

 日本が最終予選前の段階で失点したのは、2012年2月のウズベキスタン戦(豊田)以来。この時は黒星も喫したが、ウズベキスタンという相手を考えれば、そういう結果も想定できた。だが、今回の相手は最終予選未経験のタジキスタンである。彼らの出足の鋭さや激しさは目を見張るものがあったが、それでも失点はいただけない。この先、二度と同じことを繰り返さないようにするしかない。

 この失点によって、権田修一(清水)が2019年9月のパラグアイ戦(鹿島)から続けていた代表戦無失点記録も9で途切れてしまった。
 
「結局、いろいろなものが1試合で変わるのがこのサッカー界。今まで続けてきたものが1試合で崩れるし、うまくいかなかったものが1試合で好転するのもやっぱりサッカー。今回は麻也(吉田=サンプドリア)や冨安(健洋=ボローニャ)たち普段、一緒にやっているDF陣がいないので、慎重かつ大事にやらないといけない」とここまで正GKの座を死守してきた男は警戒心を隠さなかった。が、結果的には悪い方に転んでしまった。チーム自体は尻上がりに調子を上げ、最終的に4-1で勝ち切ったものの、権田自身は不完全燃焼感が強かったことだろう。

 これでいきなり彼の評価が下がるとも思えないが、守護神争いがいったんフラットになる可能性は高い。もちろん、権田が森保体制発足後に築いてきた実績は尊重されるべきもの。しかし、Jリーグ復帰後は清水エスパルスの苦境もあって、絶対的な存在感を示せていないのも事実だ。「最終予選を戦い抜くために、コンスタントな試合出場が必要だと思って日本に帰ってきた」と大舞台を熱望する男が本当に現在の地位を維持できるかどうかは、やはり今後のパフォーマンス次第と言っていい。
 

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