【なでしこサッカー新時代】第2回 鮫島彩 (後編)|新チームに加入したベテランの決意「いろんなことへ、自分なりに挑戦してみたい」

2021年06月07日 西森彰

アメリカで「すごくいいな」と思った光景とは

大宮アルディージャVENTUSでプレーする鮫島選手。 写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 2021年、日本の女子サッカーは新たな時代に突入する。

 2020東京オリンピックは約2か月後に迫り、この秋には女子プロサッカーリーグ『WEリーグ』が誕生する。なでしこたちは来るべき時に備えて、コロナ禍という難しい状況のなか、ひたすら前を向き、準備を進めている。

 節目を迎えるこの時だからこそ、これからWEリーガーとなる選手たちの声に耳を傾けてみたい。彼女たちが語る、なでしこサッカーの未来とはいかなるものか。

 第2回には、鮫島彩選手が登場。INAC神戸から、新参入する大宮アルディージャVENTUSに籍を移し、今やチームを率いる立場となったベテランとなった。

 海外の女子リーグも経験した33歳に、秋に開幕するWEリーグへの想いを聞いた。
 
 ――この秋に開幕するWEリーグについてお伺いします。プロリーグ発足の話を聞いて、最初に抱いた感想を教えてください。

 日本の女子サッカーが大きな一歩を踏み出したなと感じました。どうなるのかは、私たち次第。このきっかけを、しっかりと根付いたものにしていかなければと思います。

――プロといえば、鮫島選手は、アメリカのボストンブレイカーズ、フランスのモンペリエでも、プレーされています。同じプロの環境でも、海外と日本では違うものですか? 

 フランスでは、日本と同じようにサッカーをしながら働いている選手がいました。リヨンなどのチームは違いますが、モンペリエは、選手を取り巻く環境も状況も、日本のなでしこリーグにいる時と、そんなに変わらなかった印象です。

 ただ、アメリカでは、びっくりしました。ボストンでは自分の練習着も全てスタッフが洗濯してくれました。ほかにも、日本から来た私からすれば、恐縮してしまうような事ばかりでしたね。もう10年近く前のことですが、「これがプロのスタンダードなんだ」と思い知ったというか。

――日本ではなく、海外でプレーしたことで「良かった」と感じられたことはありますか。

 日本でいう、小・中学生くらいのサッカー少女たちが試合をたくさん見に来てくれていたんです。正確に数えたわけではないですが、パッと見てわかるほど、日本のなでしこリーグより、たくさんの子供たちがスタンドにいました。その当時(2010年代)、日本でスタジアムの最前列を女の子たちが埋め尽くしてくれたという記憶はないので「あ、この光景、いいな」と、強烈に印象に残ってます。
 

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