バルベルデ、ギュンドアン、M・ジョレンテは「トータルプレーヤー」の代表格。Jリーガーでは?【小宮良之の日本サッカー兵法書】

2021年05月31日 サッカーダイジェストWeb編集部

プレーゾーンによって目まぐるしくキャラクターを変えられる

どのポジションでも力を発揮する(左から)M・ジョレンテ、ギュンドアン、バルベルデ。(C)Getty Images

「Todoterreno」

 スペイン語で「オフロード車」を意味するが、サッカー用語としては「神出鬼没にどこにでも現われ、そこを闊歩し、相手に打撃を与えられる選手」を指している。悪路でも力強く乗り越えて、チームを走らせる。そんなイメージだろうか。

 ウルグアイ代表MFフェデリコ・バルベルデ(レアル・マドリー)、スペイン代表MFマルコス・ジョレンテ(アトレティコ・マドリー)、ドイツ代表イルカイ・ギュンドアン(マンチェスター・シティ)の3人は、代表的な「Todoterreno」と言えるかもしれない。それぞれ、ポリバレントで複数のポジションを担当し、オールコートにわたって能力を発揮できる。

 トータルプレーヤーとも言い換えられる。かつてヨハン・クライフはトータルフットボールの中心だったが、ポジションにかかわらず、プレーできる。それが変幻を生むことになった。

 バルベルデはボランチを中心に、アンカー、インサイドハーフ、ウイングバック、サイドアタッカーと遜色なくプレーできる。どこにも顔を出せる選手。ウルグアイ人選手らしく、体力的にも精神的にもタフなプレーを持ち味とし、それぞれの局面で負けない。球際での勝利を、チーム全体につなげられるのだ。

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 M・ジョレンテもSBからFWまであらゆるポジションに適応し、二刀流どころの話ではない。そのベースはしっかりした技術とフィジカルパワーとスプリント力にあるだろう。相手が敷いた守備ラインを、ダイナミックに突破できる。

 ギュンドアンはアンカー、ボランチ、インサイドハーフを兼任できる。守備面ではプレーを読んで相手を阻み、攻撃ではプレスを回避して起点となるだけでなく、敵ゴール前まで突っ込んでゴールに絡める。まさに神出鬼没の選手と言えるだろう。

 3人とも、プレーゾーンによって目まぐるしくキャラクターを変えられる。適応力はクレバーさの証明だろう。共通点は戦術レベルの高さにあるだろうか。フィジカル的に優位性を持っているのは確かだが、それに依存していない。例えば少し立ち位置をずらすだけで味方にとってはパスをしやすく(顔が見える)、少し身体の向きを変えるだけで次のプレーに入りやすくなるのだが、そうしたディテールで優れているのだ。
 

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