大エース招集ならフランス以上の強敵にも? メキシコの“秘密兵器”は日本人コーチ【東京五輪・対戦国紹介】

2021年05月31日 河治良幸

ロンドン五輪では準決勝で対戦

逸材ライネス(左)やオーバーエイジのエルナンデス(右)が招集されればメダルを狙える強力な布陣に。(C)Getty Images

 北中米カリブ海王者として日本に乗り込んでくるメキシコは、2012年ロンドン五輪の準決勝で日本を破り、ファイナルでブラジルを下して金メダルを獲得した。オーバーエイジでの東京五輪参戦が濃厚な吉田麻也、酒井宏樹には因縁の相手になる。

 4年後のリオ五輪では、ドイツと引き分けるも3戦目で韓国に0-1で負け、グループステージで敗退する屈辱を味わっており、今大会にかける意気込みは強そうだ。まだどんなメンバーになるかは不透明だが、グループ"最強"と見られるフランスを結果で上回る可能性は十二分にある。

 元メキシコ代表MFのハイメ・ロサーノ監督は、ケレタロで国内を代表する名将の一人として知られるビクトル・マヌエル・ブセティッチのアシスタントコーチを務め、2017年に監督として指揮を執った。その懐刀である日本人の西村亮太コーチは指導者講習の同期で、ケレタロ時代からロサーノ監督を支える。サントス・ラグナで分析担当を務めた経験もあり、日本代表のこともかなり研究してくるだろう。

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 4ー3ー3と4ー2ー3ー1を使い分けるところは南アフリカとも共通するが、中盤の組み立てがより組織的で可変性が高い。攻撃的なチームに映るが、北中米カリブ海予選の決勝ラウンドでは5試合で2失点と堅守を誇る。対人に強い4バックに加えて、サイドや前線の選手がしっかりプレスをかけ、プレスバックも厭わない。

 日本がメキシコ戦であまり相性が良くない理由の1つとして、強みを出しにくいというのがある。要所要所に大きな選手はいるが、基本的に体格が似ていて、スピードも瞬発力よりアジリティを発揮してくる選手が多いのだ。サイドの1対1などでは果敢に突破を狙ってくるが、中央では細かい連動やワンツー、3人目の動きなども使ってくる。感覚的には少し身体が強くて積極的な日本人の集団という表現になるか。

 メキシコのもう1つの特徴は、国内リーグの選手が多いこと。よほど欧州のビッグクラブから誘いがない限り青田買いには乗らず、メキシコでプレーして、A代表に定着してから海を渡るというケースが多い。

 パチューカで本田圭佑の同僚だったエリック・アギーレが好例であり、2020-21シーズンのメキシコ・リーグで11アシストを記録するなどブレイク中のFWアレクシス・ベガ(グアダラハラ)なども順調に成長している。
 

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