プロ大注目の2年生、大迫塁が神村学園を全国へ導く決勝弾! 逸材を進化させた「松木の言葉」と「Jクラブで得た手応え」

2021年05月30日 松尾祐希

不完全燃焼に終わった初めての選手権

スケールアップを遂げた大迫。インターハイの鹿児島決勝で値千金の鮮烈ミドルを蹴り込んだ。写真:松尾祐希

 初めて挑んだ冬の選手権。初めての大舞台はホロ苦いモノとなった。あれから約5か月、ひと回りもふた回りも逞しくなり、"試合を決められる"選手へと変貌を遂げた。

 5月29日に行なわれたインターハイ(全国高校総体)の鹿児島県予選決勝。すでに複数のJクラブが注目する神村学園の2年生MF、大迫塁が最終盤に大仕事をやってのけた。

 宿敵・鹿児島城西を向こうに回し、前半からトップ下の位置で貪欲にゴールに迫る。後半はややトーンダウンしたが、1-1で迎えた延長後半5分、自ら持ち込んで得意の左足でゴールを狙った。「思い切って撃とう」。迷いなく振り切ったミドルシュートが決勝弾となった。

 大迫は神村学園中の3年時にプリンスリーグ九州を経験。1年生の昨季は入学当初からチームのエースナンバーである14番を託されるなど、大きな期待を背負って戦った。正確な左足のキックに確かな戦術眼を持ち、守備でもハードワークを厭わない。将来性は誰もが認めるところで、世代別の日本代表にも度々招集されていた。
 
 しかし、期待に応えられていたかと言うとそうではない。代表で安定感のあるプレーを見せた一方で、神村学園では裏方に徹するゲームが多く、ゴールやアシストでチームを勝利に導く活躍はあまり果たせなかった。

 とりわけ、その課題を露呈したのが昨冬の高校サッカー選手権だ。攻撃力を買われ、本職のボランチではなくトップ下でプレーしたが、パフォーマンスはいまひとつ。2回戦の近江戦(1-0で勝利)で決勝弾を決めた相棒、U-18日本代表のFW福田師王(2年)と比べれば、インパクトを残せたとは言い難い。迎えた富山一との3回戦、0-1で敗れた一戦で、厳しい現実を突きつけられる。トップ下を任されるも、試合中に本職のボランチへ配置転換。理由は相手のプレッシャーに耐え切れず、ボールロストを繰り返していたからだ。
 
 結局、後方からのゲームメイクに終始し、決定的な仕事は最後までできずじまい。不甲斐ない出来に、試合後はピッチに膝を突いて、人目を憚らずに涙を流した。

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