「最後にタケの努力が報われた」久保建英の今季をスペイン人記者が採点!「予想外の事態だったのが…」【現地発】

2021年05月28日 ラディスラオ・ハビエル・モニーノ

今シーズンを100点満点で評価すると…

前半戦はビジャレアル、後半戦はヘタフェでプレーした久保。(C) Getty Images

 タケ・クボ(久保建英)の今シーズンを100点満点で評価すると、50点という採点となる。昨シーズン、マジョルカで随所に輝きを放ち、期待は大きかった。新天地としてラ・リーガの第2勢力の一角を占めるビジャレアルに移籍したのもキャリアアップの一環のはずだった。

 しかし、ウナイ・エメリ監督の信頼を獲得するには至らず、ラ・リーガでの先発出場は第7節のカディス戦まで待たなければならなかった。主力の1人として活躍することを夢見て加入したタケにとって予想外の事態だっただろうことは想像に難くない。当然ショックも大きかったことだろう。

 エメリ監督がタケの実力を引き出せなかったという見方はできる。ただその一方でタケがレギュラーとしてプレーするに足るパフォーマンスを見せられなかったのも事実だ。ポジション争いでサムエル・チュクウェゼはおろか、1歳年下のジェレミ・ピノにも後れを取り、右サイドに流れるプレーを得意とするエースのジェラール・モレーノとの"ポジション被り"もマイナスに作用した。

 ベンチを温める機会が増えるにつれ周囲には待望論が沸き上がり、保有元のレアル・マドリーの不満も伝えられた。エメリはこのままチームに置いておくことはマイナス面のほうが大きくなると判断し、移籍を容認。タケは今冬の移籍市場でヘタフェに新天地を求めた。

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 チームを率いるホセ・ボルダラス監督の戦術とタケのプレースタイルとの相性の悪さを危惧する声は当初からあったが、個人的には理想的な選択に思えた。ボルダラス政権5年目を迎えたチームは、前シーズンまでの勢いを失い、個人技に長けたタケは格好のカンフル剤になると考えたからだ。

 しかし、良かったのは出だしだけだった。エルチェとのデビュー戦で30分ほどの間に2得点に絡む活躍を見せ勝利(3-1)に貢献するも、チームの下落傾向に歯止めがかからない中、ボルダラス監督はすぐさま原点回帰のフィジカル重視のサッカーへと舵を切り、タケの出場機会は自ずと限られた。

 タケに求められたのは、スーパーサブ的な働きだったが、出番が回ってきても劣勢の展開が続いた。そんな中でも、懸命に守備に奔走し、ボールを持てば、何とか得意のドリブルで局面を打開しようと試みた。

 チームを降格の悪夢から解放させた37節レバンテ戦でのゴールは、そんな前向きな努力を続けたタケへの報いでもあった。その瞬間、発露させた怒りにも似た感情は、彼の内に秘めた気持ちの強さを感じさせた。

 そう、遅きに失したとはいえ、シーズンの中で最も重要な試合において決定的な仕事を果たしてみせたのだ。ヘタフェ、タケ双方にとって今回の移籍をポジティブに振り返ることができるだけの価値ある一撃だった。

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