【ポジション別検証|FW編】強豪国には欧州1部リーグで活躍するFWが存在…求められる大迫の個の進化と、後続の追い上げ

2021年05月27日 元川悦子

5・6月シリーズで、FW陣は大迫と浅野のふたりのみを招集

今回のA代表に招集された浅野(左)、大迫(中央)とU-24に招集さた上田(右)。写真:サッカーダイジェスト

「今に限らず、ずっと代表で主力として使ってもらっている時から(自覚は)変わりはないですけどね。責任感もありますし、僕が一番前にいるので、しっかりしたプレーを見せないといけないと思ってます」

 2022年カタール・ワールドカップ(W杯)・アジア最終予選進出のかかる28日の2次予選・ミャンマー戦(千葉)を前に、絶対的1トップ・大迫勇也(ブレーメン)は最前線を担う心構えを改めて口にした。8月末からスタート予定の最終予選前最後の長期合宿で浅野拓磨以外の点取り屋を呼んでいないのだから、森保一監督の大きな期待と信頼をひしひしと感じるのも当然だろう。

 もうひとりの浅野は2年間所属したパルチザンではサイドアタッカーのポジションに入ることが多く、ゴール前に陣取ってタメを作ったり、ボールを収めたりする仕事に磨きをかけてきたわけではない。つまり、実質的な1トップは大迫ひとりと言っても過言ではない状況だ。だからこそ、彼には今回のミャンマー戦からの計5試合を有効活用し、FWとしてのベースを取り戻してもらう必要がある。
 
 というのも、今季ブレーメンではFW起用される機会が極めて少なかったからだ。「今季はチームが負けているなか、スタートから出ることは少なかった」と本人も悔しさを吐露したが、シーズン無得点に終わったのは2009年にプロになってから初めてのこと。2014年のドイツ挑戦以降は日本人ゆえの器用さが災いし、ボランチやトップ下、サイドアタッカーなど多彩な役割を課されてきたが、ゴールだけは必ず奪っていた。そんな男がゼロという数字に危機感を抱かないはずがない。まずはこの代表期間に得点感覚を取り戻してほしい。

 そのうえで、最終予選、カタールW杯を視野に入れた、さらなる個の成長に取り組むべきだ。大迫自身はブンデスリーガ2部に降格したブレーメンに残留するつもりはなく、欧州でFW起用してくれる新天地に固執している様子だ。確かに1年半後のカタール本番でベスト8の壁を超えたいと願うなら、エースストライカーがトップリーグで活躍し、結果を残すことは必要不可欠と言っていい。
 

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