大迫勇也のOA招集可&不可をシミュレーション。U-24日本代表のアタックは大迫の有無でどう変わる?

2021年05月19日 清水英斗

大迫起用なら、ある程度ポゼッションを期待できる。そこから動きをどう出すか

大迫を組み込んだU-24日本代表の予想メンバー。

 東京五輪のオーバーエイジ招集で有力と見られているひとりが大迫勇也だ。今季は所属するブレーメンで本領を発揮しきれなかったものの、A代表では3月の日韓戦が示すように、いまだ最前線で大きな存在感を放っている。しかし、五輪は国際Aマッチではなく、ブレーメンのフロリアン・コーンフェルト監督が解任された状況も併せて考えれば、招集は決して簡単ではない。果たして、大迫が招集できた場合と、できなかった場合で、U-24日本代表のシステム、戦い方はどのように変わるのか。サッカーライターの清水英斗氏にシミュレーションしてもらった。

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 大迫を招集する場合、いちばん大きな利点は、縦パスを預ける起点が中央にできることだ。ボールを受ける前に、相手CBとの接触で駆け引きができるFWは、日本人では珍しい。また、大迫はそうした球際も巧みだが、すき間に顔を出すタイミングも抜群にいい。久保建英、堂安律との連係で、中に刺してタメを作って相手を収縮させ、外へ展開。スペースを突く。それくらいの攻撃は容易に計算できる。

 その展開した先に居るのが、三笘のような破壊的ドリブラーなら、対戦相手に大きな脅威を与えられるだろう。ただし、相手も強豪なので、三笘への対応策はすぐに打ってくるはず。場合によっては、三笘の1対1が通じない、あるいはサイドチェンジさせない位置に相手SBが立って来るケースもあり得る。

 そこで三笘の周囲をかく乱する存在として、旗手怜央の起用も視野に入れた。旗手を自由に攻撃参加させる一方で、板倉滉はあまり前方や左サイドへ張り出さず、アンカー気味に残って、旗手の背後をCBとともにカバーする。

 動きを出しながら、バランスもしっかりキープ。大迫を起用するケースでは、ある程度はポゼッションの安定が期待できるので、そこから動きをどう出すか。それを念頭に置いて11人の配置を考えた。
 
 ただし、正直なところ、三笘の起用は願望も含む。4-3-3のウイングの癖が残りすぎている三笘は現状、4-4-2の守備ブロックには入れづらい。サイドハーフとウイングのプレーの違いを、彼がどこまで整理してくれるのか。また、守備の立ち位置だけでなく、U-24アルゼンチン戦で露呈したように、海外の選手に対してドリブル突破がどれだけ通用するのか。この点も手探りだ。

 このシステムで機能すれば夢はあるが、正直、川崎の三笘が日本代表の三笘としてフィットするまで、時間が足りない気はする。6月の強化試合でよほどの感触を得られれば良いが、現実的に考えるなら、三笘ではなく、相馬勇紀かもしれない。
 

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