「みんなミスをしたくないんだと思う」福岡スウェーデン人DFが母国に伝えた日本サッカーと日本社会

2021年05月16日 サッカーダイジェストWeb編集部

サロモンソンがスウェーデン・メディアに語った日本での生活

来日3年目、福岡で2年目を迎えたサロモンソン。母国メディアに日本での経験を伝えている。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 アビスパ福岡で2年目を迎えた元スウェーデン代表のエミル・サロモンソン。今季開幕前、日本での3シーズン目を迎えるにあたり、彼は母国メディア『Sportbladet』に、日本での様子を語っていた。今回は、その後編をお伝えする。現地記者がサロモンソン本人から引き出した日本での生活、そして日本への想いとは――。

取材・文:エリック・ニーヴァ text by Erik Niva(『Sport bladet』)
翻訳:鈴木肇 translation by Hajime SUZUKI

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 来日1年目のサンフレッチェ広島時代は、何もかもがあっという間に過ぎていった。シーズンが始まってから数か月経った頃、Jリーグを中継している放送局のインタビューに応じる機会があったんだけど、その時に彼らから教えてもらったんだ。僕はJ1の外国人で最もプレー時間が長いということをね。連戦に次ぐ連戦で、遠征も多く、気持ちも相当入っていた。そして、とうとう身体が悲鳴を上げてしまった。5月後半に行なわれた敵地の浦和戦でそけい部に痛みが走って、途中交代を余儀なくされたんだ。後になって、自分の身体ともっと相談しながらプレーすべきだったと分かった。だけど全てがうまくっていたから、それは難しかったよ。
 
 数か月離脱して復帰すると、チームのシステムが少し変更されていた。だけど成績は悪くなる一方だった。サンフレッチェはACLで敗退し、しかも新たな戦い方を模索しているところだった。それまでチームにおけるウイングバックのポジションはサイドバックの選手にとってやりやすかったんだけど、今度は純粋なウイングとして攻撃的なプレーが求められるようになったんだ。僕は何試合か途中出場したけど、かつての調子をまったく取り戻せなかった。

 その時期はつらかった。仲が良くて英語を話せるベサルト・ベリシャはクラブを去っていた。そのためチームには話し相手がまったくいなくなってしまったんだ。僕以外の外国人はみんなブラジル人。彼らはほかの日本人選手と同じで片言の英語しか話せなかったんだ。僕は独学で日本語を勉強しようとしたけど、学習書で学んだことを実際の会話で活用するのは難しかった。日本では話をする相手に合わせて礼儀と尊重の程度を変えることが求められているんだ。外国人の僕はまったく適応できなかったよ。幸いなことに、僕には通訳がいた。僕たちは親しくなって、一緒に東京に行ったこともあった。だけど彼が不在の時は本当に独りだった。

 しかも、ある感情が僕の中に芽生えてきた。クラブを失望させてしまったのではないか、というある種の罪悪感がね。獲得した外国人選手にクラブが期待しているのは、チームを牽引すること。ほかの選手と同じパフォーマンスをしていてはダメで、パフォーマンスが少しだけ良いというのも十分ではない。チームメイトよりも"遥かに"優れたプレーを示すことが求められているんだ。クラブが選手を評価する方法は外国人と日本人とでは異なる。もちろん僕は自分のやるべきことをやりたかった。だからこそ余計に、罪悪感のようなものを抱いてしまった。
 

次ページ間違いを犯すのをいつも怖がっている。そういった特徴が社会システム全体に影響を及ぼしているね

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