不可解な選手起用、一貫性を欠く戦い方…クーマンは来季もバルサで指揮を執れるのか【現地発】

2021年05月16日 エル・パイス紙

周囲にはシャビの待望論が高まっている

レバンテ戦のドローで優勝が大きく遠のいたバルサ。批判の矛先はクーマン(右端)に集中している。(C)Getty Images

 自らの進退問題について明言を避けるのがここ最近のロナルド・クーマン監督の記者会見の定番になっている。もっともそれは仕方がない面もある。いくら彼が希望しても、最終決定権は3月の就任時に「クラブを束ねるためにわたしは戻ってきた」と語った会長のジョアン・ラポルタと強化責任者にあるからだ。

「選手交代の判断を誤ったこともあった。チームが苦戦を強いられる時間帯において、試合をコントロールする術も持ち合わせていなかった。でもだからと言って就任以来、残してきた数々の功績が色あせるわけではない」

 このようにクラブ内にはクーマンを擁護する声は決して少なくない。しかしラポルタは長く沈黙を貫き、周囲にはシャビの待望論が高まっている。

「移行期にあるチームを指揮するのには向いているが、新たなプロジェクトを任せるには物足らない」。クラブ内には同時に続投を疑問視する声が上がっているのも事実である。

 その意味では、ラ・リーガの優勝争いから大きく後退する結果になったレバンテ戦での引き分け(3-3)は決定打になりかねないものだ。事実、クーマンも試合後、「みんなの進退に関する質問がしたいという気持ちは理解できる。この日の後半の内容ではね」と落胆の色を隠せなかった。

【動画】3-3の壮絶な撃ち合い!バルサがまさかのドローに終わったレバンテ戦のハイライトはこちら
 クーマンは就任早々、山積する課題への対応を迫られた。ルイス・スアレス(アトレティコ・マドリー)とイバン・ラキティッチ(セビージャ)に対して自らの口で構想外を宣告し、最終的に見送られたとはいえ、エリック・ガルシア(マンチェスター・シティ)とメンフィス・デパイ(リヨン)の獲得をリクエストした。

 同時進行でフロントに対して怒り心頭のリオネル・メッシが移籍を志願していた。しかし、クーマンはクラブファーストの姿勢を保ちながら、一つ一つ問題の解決に当たった。そうした仕事ぶりからロッカールーム内でも支持者は多く、ある選手も「人を騙すようなことをしない。誠実さは僕たち選手が重要視する点でもある」と称賛する。

 若手の抜擢もクーマンの大きな功績の一つだ。ペドリ、アンス・ファティ、セルジーニョ・デストは開幕からスタメンに定着し、オスカル・ミンゲサとロナルド・アラウホが続いた。イライシュ・モリバやフランシスコ・トリンカンといった選手も出場機会を増やした。

「未来を見据えたチームだ」。クーマンも最近、こう若手の成長ぶりに目を細めていたものだ。

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