J・フェリックスとアセンシオは、なぜ伸び悩んでいるのか? クラブOBに訊いた【現地発】

2021年05月07日 エル・パイス紙

「チョロにゴマをすれとまでは言わないが…」

まだそのポテンシャルを最大限に発揮しきれていないアセンシオ(左)とJ・フェリックス(右)。(C)Getty Images

 才能に恵まれながら、伸び悩む選手は少なくない。現在ラ・リーガにおいて傍から見るとこの不可解な現象に陥っている代表的な2人の選手がアトレティコ・マドリーのジョアン・フェリックスとレアル・マドリーのマルコ・アセンシオだろう。それぞれ取り巻く環境は異なるが、共通しているのがプレーの継続性に欠け、自信を失っている点。両クラブのOBに見解を語ってもらった。

「ジョアンに起きていることはよく分かるよ。わたしも彼の年齢の頃は、同じような状況に陥った。才能に頼ってプレーし、逆に自分の不得手なことは進んで取り組まなかった。守備の仕事をね。シメオネのようなタイプの監督に対し、自分のプレーに理解を示そうとしてくれないと疑心暗鬼になって、衝突した点も同じだ。

 そうした状況は(ラドミール)アンティッチと出会うまで続いた。しかしその時、わたしは若くはなかった。ジョアンは優れた守備者ではないし、それはこれからも変わらないだろう。でも才能は素晴らしいものを持っている。今は忍耐が必要だ。遅かれ早かれ世界で5トップのプレイヤーとして認識されているはずだ」

 こう自分に重ね合わせながら、ジョアン・フェリックスの現状を分析するのはミリンコ・パンティッチだ。パンティッチは1966年生まれ。1995年に同郷のアンティッチ監督に請われてアトレティコに加入。その1年目の1995-96シーズン、クラブ史上初のドブレーテ(ラ・リーガとコパ・デル・レイ)達成の立役者となった。

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 ジョアン・フェリックスは今シーズン、全てのコンペティションを通じて開幕10試合で7得点と好スタートを切った。しかし、スタメン出場の機会が減少するにつれてパフォーマンスが低下。結果的にフラストレーションを蓄積させ、レアル・マドリー戦で交代を命じられた場面やビジャレアル戦のゴールパフォーマンス時のように不満を露わにしたこともあった。

 シメオネ監督との仲も取り沙汰されるが、パンティッチは両者が良好な関係を築くことを期待する。

「チョロは自分の手中にあるものの価値を理解しているはずだ。彼は誰とも結婚しない監督でもあるけどね。いずれにせよ、ジョアンにサウール(ニゲス)や他の選手のような守備力を求めるのは酷だ。資質がないからだ。ジョアンは宝石だよ。ただその才能を輝かせるには相応しい土壌を用意することも重要だ。

 もちろんジョアン自身もチョロに考えを変えさせる行動を起こさなければならない。監督によって選手のえり好みはある。ゴマをすれとまでは言わないが、相互理解を図り、お互いが歩み寄るためにチョロが要求するタスクにも取り組まなければならない。シメオネはジョアンのことを反逆児と称していたけど、その言わんとしていることはよく分かる。チョロだって天から与えられた才能を無駄にしてほしくはないという気持ちは同じなんだ」

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