「パリを反抗に導いた」試合を支配する“エムバペの覚醒”に現地メディア驚嘆! CLシティ戦での躍動に高まる期待【現地発】

2021年04月28日 結城麻里

「反逆のリーダー、エムバペ」

風格を漂わせるようになってきた22歳のフランス代表FWエムバペ。 (C)Getty Images

 22歳のアタッカーが、"覚醒"し始めている。

 フランス・メディアに「ディアボリック(悪魔的、魔性的)」の表現が登場し始めたのは、リーグ・アン第33節のパリ・サンジェルマン対サンテティエンヌ戦(3-2)あたりから。

 なにしろこの日のパリは、ホームに下位のサンテティエンヌを迎えながら、スコアボードに0-0が張りつく冴えない試合展開に甘んじていた。しかも78分にはサンテティエンヌにゴールをこじ開けられてしまった。

 折しもリーグ・アンは、上位4位(首位リール、2位パリ、3位モナコ、4位リヨン)が勝点1ポイント差で並ぶという、同リーグ史上初のデッドヒート。ここで敗北すれば、パリは一気に順位を下げる可能性もあった。

 そのときである。キリアン・エムバペが豹変した。

 何度目かもわからない猛タックルを受けたアタッカーは、直ちに立ち上がるや、決死の形相で猛進。たった1分後に同点ゴールをものにしてしまったのだ。中継局『Canal+Sport』で解説していたパリSGのOBミカエル・ランドローは思わず、「ここがネイマールと比べ物にならない点です。エムバペは削られてもフラストレーションに身を委ねない」とコメントしたほどだった。
 だが、それで終わらなかった。彼が何かを決意したのが表情から伝わってきた。そして87分、自らPKをゲットすると確実に決め、9分間でチームの逆転劇を仕切った。最終的には再度の同点とイカルディの土壇場ゴールを経てパリが勝利したのだが、エムバペが悪魔的リーダーシップで、試合の流れを変えたのは明らかだった。

 このため全国紙『L’EQUIPE』は、「KMBはあるミッションに導かれている様子だ。残る3つのコンペティションを全て制覇するというミッションだ」と推察し、フランス代表FWに「パリを反抗に導いた」「リーダーの役割を背負った」「反逆のリーダー、エムバペ」と賛辞を贈った。

 同じ雰囲気は24日(第34節)の敵地メス戦(3-1)でも現われた。試合開始後4分でエムバペがゴールを叩き入れたものの、抵抗するメスに追いつかれる。するとまたしても「俺が許さない」と言わんばかりの冷静さでゴールを叩き込んだ。最後は削られて倒れ、大事をとってベンチに下がったが、その断固たる決意が漂った試合だった。

次ページフランスでは「歴史的3冠」への期待も

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