【バイタルエリアの仕事人】vol.4 江坂 任|明確な指針を与えてくれたオルンガと衝撃を受けたチームメイト。追求する理想像とは?

2021年04月23日 長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

バイタルエリアで自分がいかにうまくポジションを取れるかは重要

G大阪戦でのハイパフォーマンスに続き、10節の大分戦で今季初ゴール。10番が躍動し、チームの調子は上向きだ。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

 攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第4回は、国内屈指のアタッカーとして目覚ましい活躍を見せている柏レイソルの江坂任だ。前編ではデビューを果たした日本代表で受けた刺激やプロ入りして培ったバイタルエリアでの緻密さについて語っているが、後編では自身のプレースタイルに影響を与えた人物など、彼のサッカー観についてさらに深く掘り下げていく。

 今季、序盤戦の柏は6戦白星なしという不振に陥った。しかし、4月11日の9節・ガンバ大阪戦で7試合ぶりの勝利を収め、ようやく長いトンネルを抜け出す。攻撃の中心にいたのは、紛れもなく背番号10だった。

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 ガンバ戦は1-0でしたけど、なんとか勝てて内容も含め、少し兆しは見えたかなと思います(※インタビューは4月13日に行なった)。あの試合の前日にはネルシーニョ監督からも「もっと自分たちでやらないといけない」と強く言われたので、そのぶん気持ちも入ったし、自分たちでこの状況を変えようと、みんながもう一度同じ方向を向き直すことができました。

 点には絡めなかったんですけど、僕、『サッカーダイジェスト』さんから無茶苦茶良い評価をしてもらったんですよね(※7.5の高採点でマン・オブ・ザ・マッチに選出)。素直に嬉しかったですけど(笑)。

 今回に関してはガンバが本調子ではないこともあったと思いますが、選手同士の距離間もよかったし、それで自分たちが良い流れに乗れたと思います。前半のミツへのスルーパス(※左サイドのスペースへ走り込んだ三丸拡へ高精度のスルーパスを通し、絶好機を演出)も僕の並びにサヴィオが走っていて、彼に付いていったディフェンスが空けたスペースにミツもタイミングよく走り込んでくれた。本当に一瞬のタイミングで、感覚で出しましたけど、選手同士のスペースへの意識や良い距離間が生んだプレーでした。

 僕自身は代表でもすごく刺激を受けたので、そこは自分としてはうまく作用して調子はいいのですが、チームとしてはやはり今シーズンは得点が取れていない。チームに得点をもたらせていないという点では、本当に変えていかなければいけない。

 鹿島戦(8節/1-2で敗戦)やガンバ戦もそうですが、良い形やフィニッシュはあるんですが、GKに阻まれたり、あともう少しという場面が多い。それがいまのチーム状況を表わしているのかなと思います。「そこをしっかり決められていれば……」という試合が多かったので。

 改善するにはチャンスの数を増やすこと。それなしには得点は増えないし、自分のプレーでチャンスの数を増やさないといけないとも感じています。そういうなかでチームにとっては、得点が入っていないことでのメンタル的な要素も大きいかもしれません。急ぎすぎたり、ゴール前で落ち着けなかったり、プレーに焦りとして現われてくることもあるので、そのぶんチャンスを増やして得点の可能性を高めていきたい。

 そういう意味でも、バイタルエリアで自分がいかにうまくポジションを取れるかは重要です。逆に僕を抑えに来るなら、周りの選手を経由して攻めるのがベストだし、上手く相手の狙いを逆手に取って外していければいいですね。
 

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