「これこそ、フットボールへの愛だ」たった2日で勝利! イングランドの“スーパーリーグ徹底抗戦”にフランスから喝采の嵐!【現地発】

2021年04月23日 結城麻里

ESL構想にフランスでも怒りが噴出

試合前に会場付近に集結したチェルシーのサポーター。このすぐあと、チェルシーはESL離脱を表明している。 (C)Getty Images

「It’s not football anyway」(それはもうフットボールでも何でもない)

 チェルシーのサポーターたちがデモに立ち上がり、こんなスローガンでスーパーリーグ構想への怒りを露わにしたのは20日夕。試合に到着した自チームのバスを止めて激しく抗議した。そして19時には勝利してしまった。チェルシーがスーパーリーグ脱退を発表したのだ。スローガンも直ちにこう変化した。

「We saved football」(我々はフットボールを救った)

 まるでフランスのお株を奪うような抗議行動が噴出したイングランドに、フランスメディアは21日、珍しくも純粋な大喝采を送っている。フットボールの母国の誇りを高々と掲げ、歴史的闘いを決行し、たった2日で勝利したのだから、当然である。

 フランスでもマルセイユサポーターが蜂起し、民衆が築いてきた歴史とアイデンティティーを無視してビジネス最優先路線を打ち出した会長の首が飛んだばかり。今回のスーパーリーグ構想とそれへの抵抗も、「フットボールとは何か」を本質的に突きつけるものとなっている。
 
 イングランドでいち早く反発を開始したのも、労働者階級によって支えられてきたマンチェスター・ユナイテッドのOBや選手たちだった。ガリー・ネビルは、「フットボールは民衆のもの。この構想は恥だ!」と直ちに抗議。レジェンドのファーガソン卿やエリック・カントナもこれに呼応した。

 その動きは瞬く間に広がり、雇用者に楯突くことになるにもかかわらず、現役の選手や監督が勇敢に反対発言を開始。「努力と報いの関係が存在しなくなれば、スポーツはスポーツでなくなる」(ペップ・グアルディオラ)、「もしアンバランスが存在しなければならないとしたら、フットボールを支えプレーを愛する人々の方に恩恵を与えるものでなければならないはず。だがフットボールを何よりもビジネスとみなす者たちにはそれが理解できないのだ」(マルセロ・ビエルサ)と斬り捨てた。

 またリバプールの主将ジョーダン・ヘンダーソンの発議でプレミアリーグ全キャプテンを集めた緊急会議も開催され、リバプール選手団は全員が、「我々は(スーパーリーグを)愛さないし、プレーしたくもない。これは我々の集団的ポジションである。我々のクラブとサポーターに対する関与は絶対かつ無条件だ」とのメッセージを発表した。

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