相模原・藤本淳吾の美弾がJ2月間ベストゴールに選出。得点後の“歓喜の輪”も価値あるものに

2021年04月11日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「この中からプロになる選手が出てくればいいなって」

大宮戦で藤本が値千金の決勝点! 得点後はジュニアユースたちの子どもたちと喜びを分かち合った。写真提供:SC相模原

 J2リーグ第4節、SC相模原対大宮アルディージャの一戦で、相模原の藤本淳吾が決めたゴールが同カテゴリーの2・3月度の月間ベストゴールに選出された。

 鮮やかな一撃だった。1-1で迎えた90+3分、右サイドでユーリからのパスを受けた藤本は、そのまま相手エリア内に侵入。軽やかなステップで対峙するDFの体勢を崩し、シュートコースを空けた瞬間、自慢の左足を振り抜く。放たれたボールは逆サイドのポストに当たってネットを揺らした。

 DFをかわすフェイントでは、ボールに触れていない。身体の動きひとつで目の前の敵のタイミングを外してみせる。そして、コースを突いた正確なシュート技術。経験豊富な技巧派アタッカーらしい"美弾"だった。

 藤本のゴールは決勝点となり、相模原が2-1でシーズン初白星を掴む。昇格組の相模原にとっては待望の"J2初勝利"で、メモリアルな勝利に藤本も「貢献できて良かった」と喜ぶ。平松宗の同点弾を演出したのも、藤本のコーナーだった。

 また、特筆すべきはゴール後の"歓喜の輪"だ。得点後、藤本はジュニアユースの子どもたちが集まるところに向かって駆け出し、右手で"来い、来い"と促して、一緒に喜びを分かち合った。

 この感動的なワンシーンについて後日、藤本に訊けば、「密になってしまったかもしれないけど……」と少しだけ声のトーンを落としたが、「でも、この中からプロになる選手が出てくればいいなって」とその真意を明かした。
 
 大宮戦後のオンライン上での会見では、次のように話していた。

「ジュニアユースの子たちというのは知っていて、コーナーの時とか、点が入った時もすごく喜んでくれていた。(横浜の下部組織時代の)自分が小さい時にボールボーイとかやった時に、憧れの目で見ていたし、(選手から)頭をポンポンってされただけでも嬉しかった。(大宮戦で自分が)点を取って、子どもたちが盛り上がって、行こうか行かないか迷っていた感じだったので、だから"来い、来い"ってやって。あれだけ喜んでくれたから、こっちも嬉しかった」

 クラブにとって歴史的な勝利をもたらしたゴールの価値は、数年後にまた証明されるかもしれない。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストweb編集部)

【動画】藤本淳吾の価値ある左足美弾! 2・3月度のJ2月間ベストゴール

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