3冠が見えても去就は不透明…ルイス・エンリケ監督の微妙な立場【バルサ番記者】

2015年04月30日 ルイス・フェルナンド・ロホ

バルトメウ会長に対して挑戦的な発言を繰り返す。

メッシをはじめ選手との折り合いが悪く、ファンやメディアからの受けも良くないL・エンリケ監督。3冠が狙える充実のシーズンを過ごしているが、去就は不透明だ。 (C) Getty Images

 クラブ史上二度目となるトリプレーテ(3冠)の偉業達成が現実味を帯びている。
 
 リーガ・エスパニョーラはレアル・マドリーに勝点2差をつけて首位を走り、直接対決のクラシコをすでに終えた残りの日程は、そのマドリーよりも恵まれている。
 
 国王杯は決勝に勝ち上がり、アスレティック・ビルバオと戦う5月30日のファイナルの舞台はホームのカンプ・ノウに決まった。
 
 チャンピオンズ・リーグ(CL)は次が準決勝。バイエルンとの対戦となったが、相手はアリエン・ロッベンを怪我で欠く。ブックメーカーなどもバルサの勝利を予想している。
 
 歴史的なシーズンとなる可能性は十分にあるわけだ。
 
 しかし、である。これほど素晴らしい状況にあるにもかかわらず、バルサに関して誰も答えることができないテーマがある。
 
 ルイス・エンリケ監督の去就だ。はたして、来シーズンも指揮を執っているのか。
 
 L・エンリケとバルサの現行契約は2016年6月までだ。だが、我々番記者陣が去就について質問する度に、彼は言を左右にして明言を避ける。
 
 また事あるごとに、L・エンリケはジョゼップ・マリア・バルトメウ会長に対して攻撃的、挑戦的な発言をしている。
 
 例えば、会見などでゴールキーパーの話題になると、1月に解任された前スポーツディレクターのアンドニ・スビサレータの眼力を称賛する。まるで、彼の首を切ったバルトメウの判断を責めるかのように。クラウディオ・ブラーボとマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンはスビサレータの置き土産だ。当然ながら、バルトメウは繰り返されるこれらの発言を快く思っていない。
 
 そして最大の問題が、チームの絶対的中心であるリオネル・メッシとの対立だ。
 
 以前のコラムで触れたように、メッシをベンチスタートにして敗れた1月のレアル・ソシエダ戦で指揮官とエースの間には決定的な亀裂が走り、修復の気配はない。いまも両者は一切言葉を交わさず、コミュニケーションが必要な場合には第2監督のファン・カルロス・ウンスエや、キャプテンのシャビ、アンドレス・イニエスタ、セルヒオ・ブスケッツが伝達役となって意思を伝え合う。関係は明らかに歪んでいる。
 
 メッシだけでなく、L・エンリケは他の何人かとも折り合いがよくない。「君は重要な選手だ」と開幕前に慰留しながら、実際にはベンチに追いやったシャビは、今シーズン限りでの退団とカタール行きを決断した。
 
 シーズン前半戦は冷遇していたジェラール・ピケとの関係も良いとは言えず、プレースタイルの変化でピッチでの存在感が薄れてしまったイニエスタも不満を抱えている。

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