モンゴルとの圧倒的実力差で手薄ポジションの検証は持ち越し? キャプテン吉田も「まだまだ足りない」と厳しい目線

2021年03月31日 元川悦子

国内組の経験値は向上するも新戦力などの評価は難しく

日本はW杯予選では最多、代表歴代でも2位にあたるゴールラッシュでモンゴルに大勝した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督時代の2015年6月には、2018年ロシア・ワールドカップ(W杯)2次予選で格下・シンガポール相手にシュート23本を放ちながら0-0という大苦戦を強いられたことがあった日本。あれから6年が経ち、2022年カタールW杯を目指す今回のチームは30日、同じステージで大量14得点を奪ってモンゴルを粉砕した。

 コロナ禍で本来、ウランバートルで行なわれるはずの試合が千葉・フクダ電子アリーナでの無観客で開催されたこと、モンゴルの代表公式戦が400日も空いたこと、相手が人数をかけて自陣を固めずアグレッシブに戦ってきたことなど、大差がついた要因はいくつかある。だが、格下相手の公式戦でここまでのゴールラッシュはそうそう見せられない。

「相手どうこうよりも、最後まで自分たちがどういうサッカーができるか、最後までしっかり戦い抜けるかってところにフォーカスした。交代選手もどんどん前に行く姿勢を見せたし、しっかり90分戦えた」と途中からキャプテンマークを巻いた遠藤航(シュツットガルト)も話した通り、「特別な環境下での国際試合で全力を出し切ろう」という意識をチーム全体が持ち続けたことが大きかった。

 実際、この試合では松原健(横浜)、中谷進之介、稲垣祥(ともに名古屋)が初キャップを飾り、守田英正(サンタクララ)、稲垣、古橋享梧(神戸)が代表初ゴールを挙げた。

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「いろんな選手がまんべんなく点を取ったのはそれぞれによかった」と吉田麻也(サンプドリア)も前向きに評したが、森保監督の狙いだった国内組中堅世代の底上げ、経験値向上は一応、叶う形にはなった。

 しかしながら、新戦力が本当に最終予選やW杯本大会で戦えるかというのは評価が難しい。修羅場の経験が豊富な吉田も「最終予選に入ってからが本当の戦い。今のチームの成熟度を評価するのは難しいし、まだまだ足りないと思います」と厳しい目線で語っていた。そういう意味で、今シリーズで注目していたサイドバック(SB)、ボランチ、FWの3つの手薄なポジションの穴埋めが完璧にできたとは言い切れないところがある。
 

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