親善試合とはいえ“勝負”という基準で考えれば――U-24日本が突き詰めるべきもの

2021年03月27日 河治良幸

0-1という点差以上の差を痛感させられた敗戦

前半に田川が惜しいシュートを放つなど、日本にもいくつかチャンスがあったが、決めきることができなかった。代表撮影:日本雑誌協会

 0-1以上の差。早々のゴールから日本はアルゼンチンにゲームをコントロールされた。

 日本もアルゼンチンも4-2-3-1で、攻守のデュエルが多く発生する試合。手も足も出なかった訳ではないが、0-1という点差以上の差を痛感させられた敗戦となった。

 久保建英が「決めたチームと決めていないチームは天と地ほどの差が開いてしまう」と振り返るとおり、結局はゴールを決めたか決めていないかにフォーカスされるが、一つひとつのチームとしての狡猾さという部分では0-1で、日本がひとつ決めていればというフェーズだけでは語れないものもある。

 立ち上がりは攻守の切り替わりが激しくなるなかで、日本側にもいくつかのチャンスはあった。ひとつはFW田川亨介がプレスバックでサンティアゴ・コロンバットからボールを奪ったところで、久保、三好康児、外から追い越す菅原由勢とつながったシーンはボックス内に6人が侵入する迫力だったが、ニアに走り込んだ渡辺皓太がネウエン・ペレスに防がれた。

 それから間もなく、後ろのビルドアップから右サイドバックのエルナン・デラフエンテが三笘薫のプレスを回避しながら縦に正確なフィードを送り、右ワイドに流れたFWアドルフォ・ガイチが板倉の背後に抜け出す。板倉が追いすがるが、深い位置でクロスを上げ切って最後はフェルナンド・バレンスエラのヘディングがクロスバーに当たるというシーンがあった。

 しかしながら、日本も渡辺剛の速いサイドチェンジから三笘がボールを受けて、左に回り込んだ三好が背後で受けてクロス、そこに久保が飛び込んでいくようなシーンも作っていた。17分の中山雄太を起点に左サイドバックの旗手怜央が高い位置でボールを持って、久保とのワンツーで縦を破ったシーンも形は良かった。

 ただ、そうした状況でもアルゼンチンのディフェンスがネウエン・ペレスを中心に、まったく慌てることなく的確な対処をしていたことが目を引いた。
 
 サイドから自陣に攻め込まれても、要所でフリーにさせることがないアルゼンチン。結局そのアルゼンチンを上回る崩し、フィニッシュを出し切れないまま、21分にアルゼンチンの先制ゴールを許してしまった。

 その時間帯もアルゼンチンに波状攻撃をかけられていた訳ではなく、日本側からのロングボールのセカンドを拾われて、その流れで日本のディフェンスが間延びしているところを見事に突かれた失点だった。

 自陣の左サイドからフェルナンド・バレンスエラが縦にロングパスを送り、正確にコントロールした10番のマティアス・バルガスがドリブルで板倉を振り切る形で、ゴール前には渡辺剛と菅原がラインをボールに合わせて下げたことで、ボックス内でふたりの選手をフリーに。そのひとりのガイチにヘッドで決められるという形だった。
 

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