攻守にいまひとつの出来… DFB杯・バイエルン戦でなぜ香川は輝けなかったのか

2015年04月29日 山口裕平

ラインを下げたバイエルンにパスコースを閉じられた香川。

前線から精力的に敵を追った香川だが、プレスがかわされる場面が目についた。(C) Getty Images

 佳境を迎えたDFBカップは4月28日に準決勝が行なわれ、4月初めにリーグ戦で顔を合わせたバイエルンとドルトムントが激突した。この試合に先発出場した香川真司は、70分までプレーし途中交代。その後チームはPK戦の末にバイエルンを下し、2年連続の決勝進出を決めた。
 
 クロップ監督はリーグ前半戦での対戦時と同様に、4-3-3でこの試合に臨んだ。ロイスとオーバメヤンをウイングのような形でプレーさせ、香川をCF的なポジションに配置。この3人が高い位置からプレスを徹底することで、バイエルンのパス回しの起点であるシャビ・アロンソから自由を奪おうとした。
 
 前回対戦時は、シャビ・アロンソをケアすることでバイエルンの攻撃を限定することができたドルトムントだが、この日はリーグ王者のビルドアップに後手に回る場面が目立った。
 
「今日はラームとボアテングとアロンソで1対3みたいな感じで、そこでどう上手く(マークに)付けばいいのかが難しかった」
 こう香川が語ったように、ボールの出所にプレスを掛けても簡単にパスを捌かれてしまい、ボールの奪いどころをハッキリさせることができなかった。バイエルンのビルドアップに関しては、香川も「やっぱり上手かったですね」と認めざるを得なかった。
 
 一方の攻撃面では、香川は相手のディフェンスラインとボランチの間でボールを受け、そこから前を向いてバイエルンの守備を崩そうとした。とはいえ、バイエルンのボールを失ってからの素早いプレスに、ドルトムントはボールを奪ってもなかなかパスをつなげない。前線に位置する香川が、大柄なボアテングとの競り合いに晒される場面も多かった。

次ページ皮肉にも香川が下がったことで狙いがシンプルになり決定機が増加。

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