【韓国戦|戦評】強度の高い守備からスピーディな攻撃。会心のパフォーマンスを示せた3つの理由

2021年03月26日 本田健介(サッカーダイジェスト)

モチベーション高く試合に望む

韓国を3-0で下した森保ジャパン。選手たちの顔にも充実の色が見て取れた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 胸のすくような勝利だった。アジアのライバルを攻守で上回っての3-0の快勝だ。森保ジャパンは、称賛されるべきパフォーマンスを見せたと言えるだろう。

 確かに相手の韓国は大半の欧州組を招集できず、森保一監督は「(韓国には)トップオブトップの選手がいますが、今回はいなかった。また戦う時には、別のチームと戦うような意識が必要かなと思います」と語り、キャプテンの吉田麻也も「(怪我で不参加だった)ソン・フンミンがきたら違うチームになると思います」とも話す。

 それでも、だ。意地と意地がぶつかり合う日韓戦での手応えの得られる勝利は、チームに新たな自信を与えたはずである。

 なにより素晴らしかったのはインテンシティ高く、組織だった守備であり、奪ってからのスピーディな攻撃であった。"良い守備から良い攻撃へ"との言葉をよく体現したパフォーマンスは、森保ジャパンの真骨頂を表現していた。
「モチベーションはチーム全体でありましたし、韓国戦ということもありました。そしてこの環境を作ってくれた人たちのためにも、いろんな人がこの環境作りをしてくたと思うので、そういった想いも込めて自然と良いプレーができたと思います」

 CFとして基準点になった大迫勇也の言葉にもあるように、韓国戦の出来を生み出した要因は大きく分ければ3つ考えられる。

 ひとつは、指揮官が繰り返した「笑顔と勇気を届けられるように。見てくださる方の活力になるように」との想いだろう。今回の日韓戦は新型コロナウイルスの影響もあり、「こんな時にサッカーなんて」と賛否両論の意見があった。それでもチームは、自分たちのプレーが少しでも希望になることを信じ、感染防止策を徹底したうえで、特別なゲームへと臨んだのだ。

"試合3日前までの入国"という海外組に対してゲーム出場への規制があるなか、守田英正とともに、チャーター便でギリギリで帰国を果たした吉田麻也は「ここまでやってもらって、ここで結果を残せないと男じゃないというプレッシャーもありました」と振り返る。

 そうした周囲の人への想いが選手たちの身体を突き動かしたはずだ。

 2つ目は日韓戦という気持ちのこもるファクターがあったこと。吉田は試合前日、こう熱く語っていた。

「日本代表で戦う以上、最も大切な試合だと思います。どの試合も大事ですが、それだけ韓国代表と戦うのは大切なことで、絶対に勝たなくてはいけない試合になると思います。今の時代にそぐわないかもしれないですが、足が折れてもだとか、身体が壊れてもだとか、それでもぶつかっていかなくてはいけない、勝たなくてはいけない、という表現をちょっと前まではしていました。今の若い子たちにそういう表現で伝えるのが合っているのか分かりませんが、確実にひとつ意識してほしいのは、キャリアのなかで一番大事な試合になるということです」

 日韓戦は気持ちの勝負になる。だからこそ球際で絶対に負けない――。その意識もまた守備の強度アップ、そして奪ったボールを相手の寄せに捕まらないうちにフィニッシュへ持ち込む、素早い攻撃の体現へとつながったように映る。
 

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