1部昇格1年目で驚異の無敗優勝!川崎以上の独走で衝撃を与えたタイ王者には元Jリーガーの名も

2021年03月11日 佐々木裕介

21勝3分け無敗――兎尾すら触らせない独走優勝

元大分のMFティティパンもタイ王者メンバーのひとり。ACLでの活躍が楽しみだ。(C) Getty Images

 タイリーグ1・第24節スコータイ戦に勝利し、2位ブリーラム・ユナイテッドに勝点差19をつけ、リーグ戦6試合を残し早々と優勝を決めたBGパトゥム・ユナイテッド。昨季は2部で戦っていたクラブが昇格1年目で勝ち得た優勝だ。

21勝3分0敗――。

 優勝決定時の彼らの戦績である。フットボールの質の部分の話ではないのだが、昨今の川崎フロンターレを見ていて感じる空気と被ると言えば、日本のファンにも分かり易いだろうか。強い、兎にも角にも強かった。

 コロナ禍で度重なる中断したタイリーグは、それを逆手に取って秋春制へとリーグ運営方法を変更。都合変則的だった移籍市場においても、BGパトゥム・Uはこれでもかという程の大型補強を繰り返し、都度話題をさらった。パンデミックに振り回されマネージメントが難しい環境下で、2部から昇格復帰してすぐのリーグ制覇は偉業と言って良いだろう。しかし何故これ程までに彼らは強いのだろうか。

 まずはドゥシット・ジャルムセーン監督の手腕は評価されるべきだろう。タイ代表キャップ数96試合を誇り、インドやベトナムでのプレー経験も持つ攻撃的左サイドバックであった彼は、現役時代さながらに前線に比重を置くことを好む指導者であるが、今季、彼が組織したチームの屋台骨は、間違いなく盤石な守備陣にあった。

「ヴィクトルは偉大な選手です。2015年に来泰した当時は2部チームの選手でしたが、着実に経験を積んで、今では誰もが認めるタイリーグ最高のディフェンダーのひとりとなりました」(チーム関係者談)

 ヴィクトル・カルドソ(ブラジル)、アンドレス・トゥニェス(元ベネズエラ代表)、イルファン・ファンディ(シンガポール代表)。大型外国人助っ人を並べた強固な3バックは、ずば抜けた安定感を誇る。しかもヴィクトルに至ってはゴールの嗅覚まで備え持つ。DFでチームトップスコアラーとなる15得点は並の選手でないことは明らかだ。

「確かに守備は我々の強みですが、攻撃陣だって負けていませんよ。決定的な仕事ができる個性豊かな選手が揃っています」(チーム関係者談)
 

次ページ前線にはティーラシン、ティティパンの名も。ACLではJクラブと別組に

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