「下を向くなよ!大丈夫だ、絶対に」選手権得点王、安斎颯馬が発した熱い言葉と有言実行のワンプレー

2021年03月09日 安藤隆人

デンソーチャレンジカップで大学トップクラスの相手に抜群の存在感を発揮!

優勝した関東選抜Aを相手に同点弾を演出。安斎が大学トップクラス相手にもインパクト十分のプレーを見せた。写真:安藤隆人

 デンソーチャレンジカップに初参戦となった日本高校選抜。明らかに格上ばかりが相手となるこの大会で、彼らは関西選抜と3−4という壮絶な打ち合いを演じ、優勝した関東選抜Aとは1-1のドローに持ち込んだ。残念ながらグループリーグ敗退となったが、今大会で関東選抜Aから唯一勝点をもぎ取ったチームとなった。

 会場にいた誰もが衝撃を受けたのはスコアだけでなく、内容だった。高校選抜は組織で守り、守備から攻撃への鋭い切り替え、ショートパスとミドルパスを駆使したテンポの良い攻撃で、大学生を苦しめたのだった。

「ネクストジェネレーションマッチでは同年代(川崎フロンターレU-18)に敗れて、そこから選手たちの気持ちが引き締まった。熊倉を中心にコミュニケーションを取るようになったし、チームとしてもまとまった。何より選手たちがそれぞれの地元にいったん戻って、コンディションの差を懸念していましたが、全員がコンディションを上げて集まってくれた」

 高校選抜の蒲原晶昭監督がこう目を細めたように、ネクストジェネレーションマッチよりも明らかにコンディションが良かった選手たち。さらに全学年が抜群の連係を見せていたのは、大きな驚きだった。

 なかでも先の高校選手権で得点王に輝いた3年生の安斎颯馬(青森山田高)の存在感はずば抜けていた。1年生の福田師王(神村学園高)とのコンビネーションは抜群で、2トップを組んだふたりはチャンレジ&カバーを繰り返したり、時にはリスク承知で同時に飛び出して相手のラインを下げさせたりと、アイデア豊富に相手を困惑させていた。

 関西選抜戦は福田が圧巻の2ゴール。安斎も直接FKからのゴールを含む、1ゴール・1アシスト、そして先制点の起点と3ゴール全てに絡んだ。

 圧巻の破壊力を見せた攻撃陣をコントロールしていたのが、安斎だった。「常に師王の動きを視野に入れている。本当にやりやすい」と語ったように、安斎は福田の前への推進力を引き出つつ、自分の持ち味であるゲームを組み立てるプレーと、ボックス内に潜り込んで決定的な仕事をこなすプレーを発揮した。

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