【強豪校レポート】大津|進化する「個性派集団」が九州制覇から日本一を目指す

2015年04月17日 森田将義

平岡監督「『今年も変な選手が出てきたね』と言われるチームを作りたい」

2月の九州新人大会を制した大津。昨年度、あと一歩のところで届かなかった全国制覇を今年こそは成し遂げたい。

 昨年のインターハイでは、悲願の全国制覇へあと一歩のところまで迫った。平岡和徳監督の下、これまで40人ものJリーガーを輩出、多くのタレントを生み出してきた「個性派集団」は、今年も例に漏れず多彩な個を擁して、全国の頂点を視野に入れる。今年2月の九州新人大会を制し、上々のスタートを切った大津の注目ポイントを指揮官へのショートインタビューと今季のキーマンから紐解く。
 
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■平岡和徳監督ショートインタビュー
 
――今年のチーム目標を教えてください。
 
「昨年はインターハイで決勝まで進み、チームの歴史を塗り替えられましたが、やはり頂点が目標なので喜べません。ただ、新チームは県を制し、九州新人大会で優勝しましたので、良いスタートは切れました。ただ、ここから貪欲に日本一を目指していけるか、その意識付けが一番大事になると思います」
 
――手応えはいかがでしょうか?
 
「私たちは近くで選手たちを見ているので、変化への評価が難しいのですが、九州新人大会を終えた後に周囲から『今年の大津は個の力があって面白いね』と高い評価をしてもらえました。選手たちは勝ったことに加えて、進化の方向性の手応えも得たんじゃないでしょうか。
 
 私から見れば、まだまだ組織の部分では問題がありますけど、選手のストロングポイントや個性は表現できていると思います。そして、昨年から試合に出ていたCB野田裕喜、ボランチ河原創、FW一美和成が残っていて、屋台骨がしっかりしている。そこに"変態系"のアタッカーを育てて、観ている人に『大津、また今年も"変な選手"が出てきちゃったね』と言ってもらえるチームを作りたいです」
 
――普段の練習から心がけている点は?
 
「ヨーロッパに行った時、子どもたちが試合をしているのを見るのですが、皆スライディングでボールを奪いに行っていました。コーチに言われるわけでなく、奪ったボールは大事につないで失わないようにする。奪われたら、また必死に奪いに行く。子どもたちは"ボールは魔法を持っていて、ボールを持っていないと巧くならない"ということを知っているんです。ウチも巧くなるためにボールを使ったトレーニングを中心に、『ボールを支配して、試合を支配する』というチームの特徴を磨きます。
 
 そして、成長のためにもうひとつ大事なのは全力でチャレンジすること。今の子どもは消極的に持っている力を隠してしまう子が多いけど、ピッチに出て遠慮すれば集団の温度を下げてしまう。うちは100分練習のなかで、アクションできるような雰囲気作りを目指しています。100パーセントを出し切った後に、次の100パーセントがある。我々指導者も、子どもたちの進化に情熱と忍耐力を持って接するようにしています」

次ページ「覚醒」をテーマに掲げる大津のキーマン。

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