なぜバルサはシティCBの獲得を見送ったのか? ウンティティが露呈した小さくない“不安”【現地発】

2021年02月16日 エル・パイス紙

セビージャに敗れたコパ・デル・レイで…

 膝の故障から調子が上がらない状態が続いているウンティティ。(C) Getty Images

 バルセロナのセクレタリア・テクニカ(強化部)が冬の移籍市場でマンチェスター・シティのエリック・ガルシアの獲得をリクエストしていた最中だった。その彼らが作成したというレポートの中身が地元カタルーニャのテレビ局「TV3」によってすっぱ抜かれた。

 そこにはサミュエル・ウンティティとオスカル・ミンゲサがハイレベルな試合でプレーするだけのレベルに至っていない理由が書き込まれていた。中でも、問題視されていたのが2018年ロシア・ワールドカップに痛みをおして出場して以来、悩まされているウンティティの膝の状態だ。

 さらにカンテラにも目ぼしい人材がいないことが記され、つまりはエリック・ガルシアの獲得を正当化する内容になっていた。しかし最終的に獲得は見送られた。

 3月7日に行われる予定の会長選挙の正式候補者のうちビクトル・フォントを除き、ジョアン・ラポルタが深刻な財政難を理由に真っ向から反対し、もう1人のトニ・フレイシャも、今年6月に契約が満了してから獲得したほうがいいと提言したからだ。

 ジェラール・ピケとロナルド・アラウホが怪我で戦線を離脱し、クレマン・ラングレは不調る。バルサはそんな苦しい台所事情の中、後半戦を迎えたわけだが、セビージャとの顔合わせとなったコパ・デル・レイ準決勝第1レグでCBを形成したのが、くしくもウンティティとミンゲサだった。

【動画】セビージャのCBクンデにあっさりと…ウンティティが不安を露呈した失点シーン
 
 そしてまさしく不安は的中する格好となった。ミンゲサが好パフォーマンスを披露する一方で、ウンティティは2失点に絡むという低調な出来に終わった。ウンティティはもともと左足のキックと広範囲のカバーリングが持ち味の選手だ。

 ただ膝の故障の影響で、高精度のフィードは健在の一方で、スピードが明らかに低下し、背走、あるいはオープンスペースのケアといった際にその弱点を露呈する。セビージャ戦での2失点も、1点目はジュル・クンデに又抜きを食らいそのままの勢いでシュートを許し、2点目はスリップしてオフサイドトラップを掛け損ない、裏に抜け出たイバン・ラキティッチにネットを揺らされた。

 同じくCBでその先制ゴールを決めるなど攻守に躍動したセビージャのクンデとの差は歴然としており、それがまた勝敗を分ける分岐点にもなった。

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