南葛SCの新指揮官が描く発展と進化——「面白くて強いサッカー」その実現への道筋とは?

2021年02月23日 伊藤 亮

「とりこぼさないサッカーをしてくるチームもいる中で、それでも自分のサッカーで勝ちにいく」

今季から南葛SCの指揮を執る森新監督が意気込みを語った。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

 南葛SCの新監督に就任した森一哉監督は昨シーズン、関東サッカーリーグ1部のTOKYO UNITED FCで監督を務めていた。実体験から分析する関東リーグのサッカー。そこに自分たちのサッカーをぶつける2021年シーズン。

 インタビュー企画第2回は、南葛SCが築いてきたこれまでのサッカーを、昇格した関東リーグでどう発展・進化させ、今シーズンを戦い抜いていくのかを聞いた。

 森監督が考える選手主体、技術主体でもたらされる上限なしの勝算とは。

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 1部と2部の違いはあれど、監督が関東リーグのサッカーを肌で感じているのは心強い。

「昨シーズンを経験した感じでは、レベルは高いです。もちろんチームにもよりますが、Jリーグを本気で目指しているチームが多く、簡単には勝たせてくれません。上を目指しているので手堅いサッカーをしてくるチームが少なからずあります。積極的な選手補強でチーム力を伸ばして勝ちを目指す部分と、個を補うようにして負けないように勝ちを目指す部分があります」

 南葛SCと同じく、近年は将来のJリーグ入りを目指して下のカテゴリから一歩ずつ階段を上がっていくチームが増えている。当然、競争は激化し勝負も厳しくなる。さらに2021年シーズンは、昨シーズンの新型コロナウイルス感染拡大の影響で変更になったリーグレギュレーションの余波で、10チーム中4チームが自動降格するという厳しい1年になる。勝点1が大きな意味を持つリーグで、手堅いサッカーを選択するのもじゅうぶんうなずける。南葛SCが新シーズン相対するのは、そういったシビれるリーグで戦い続けているチームだ。

「とりこぼさないサッカーをしてくるチームもいる中で、それでも自分のサッカーで勝ちにいくんです」

 森監督が語気を強める。
「これから戦う相手チームにどれだけ力があるかは分かりません。もちろん中には押されるゲーム展開になる試合もあるでしょう。でも、相手が格上だからといって最初から守って勝つといった考えはありません。ここで相手に合わせたサッカーをしてしまったら、何も始まらないと言いますか、それでも自分たちのサッカーを貫くために準備をするのが、今の時期だととらえています」

 相手にボールを持たせて主導権を握るサッカーもある。だが、南葛SCが目指すのは、あくまで自分たちがボールを持つことを前提にしたサッカーだ。

「相手に合わせてサッカーをすることはありません。もちろんゲームの流れの中で守勢になる時間もあるでしょう。主導権を握られる場面もある。その時にどう守り、ボールを奪うか。それは最初から準備しておきます。ただ、最初から引いて守るというような、選手たちのやりたいことを制限することはしません」
 

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