南葛SCが‟風間イズム“を継承へ! 三笘薫、仲川輝人も指導した新監督のサッカー観とは?

2021年02月22日 伊藤 亮

違和感なく継続された南葛SCのサッカー

今季、南葛SCの指揮を執る森新監督。2021シーズンへの決意を語った。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

 南葛SCの2021年シーズンは、新たに関東サッカーリーグ2部に舞台を移して戦うことになる。チームの指揮を執るのは、昨シーズンの島岡健太監督からバトンを受け継いだ森一哉新監督だ。

 求めるのはこれまでと同様、ボールを大事にするサッカー。インタビュー企画第1回は、数多ある選択肢の中で、なぜ森新監督がこのサッカーを志向するようになったのか。その価値観と哲学を探る。

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 前回の岩本義弘GMのインタビューで紹介した通り、森新監督誕生は電撃的に実現した。本人もオファーが来るまでは全く考えていなかったという。

「僕は2020年11月にTOKYO UNITED FCの監督を辞めて、自分のスクールの方に注力していました。そこで岩本GMから電話をもらいまして。『ボールを大事にサッカーを作っていく』という方針を聞いた時、チーム全体にしっかり伝えて成長させていく点でまず面白みを感じました。それは自分の価値観と重なる部分でもあり、やりたいことに沿ってできるのであれば楽しみがあるな、と思ったんです」

 最初は「考える時間を1週間ください」と返事した。しかし実際は最初に電話があった1時間後には承諾の返事をしていたという。

 1997年に川崎フロンターレでプレー。引退後の1999年から2013年まで、同クラブのアカデミーのコーチや監督を務めてきた。14年から16年まではトップチームのコーチを務めたが、当時の監督が風間八宏氏(2021シーズンよりセレッソ大阪の技術委員長)だ。その後、ともに名古屋グランパスへ移った際、行動をともにしたのが島岡健太・南葛SC前監督だった。

「僕も健太さんも風間さんから影響を受けたという点では一緒です。我々が表現したいサッカーを実現するための方法も、細かなアプローチは違うかもしれませんが大枠は同じです。ですから、その教えを伝えていくための言葉も似ているはず。実際にその通りでした」

 南葛SCは1月12日からチームが始動。森監督はそこで初めてチームを見たわけだが、選手たちの動きを見て一瞬で"健太さんは自分と同じ視点、同じ言葉を使っていたのだろうな"と分かったのだそうだ。

「ある言葉を使った時の選手の反応を見た時に、僕が意図したことに対して違和感なく動けたんです。イメージ通りでした。ですから、昨シーズンから継続することに無理はありません。自分が思ったこと、考えたことをすればそれがそのまま継続になっていますから」

 南葛SCからすれば「寝耳に水」だった島岡監督の退任。昨シーズン結果を出した「ボールを大事にするサッカー」の継続性が危ぶまれたが、森新監督が就任したことで驚くほどスムーズに受け継がれたと言っていい。
 

次ページ個々の技術を伸ばし、一人一人のレベルを上げることで勝利に結びつけていく

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