【強豪校レポート】星稜|『選手権王者』のリスタートは熾烈なチーム内競争から

2015年04月16日 安藤隆人

河崎監督「厳しさと我慢を持ってやることでチームができ上がる」

新チームの星稜は、熾烈なポジション争いの真っ只なか。スタメンの顔ぶれも流動的で、多くの選手にチャンスがある状態だ。写真:菅原達郎(サッカーダイジェスト写真部)

 今冬の高校選手権では決勝で前橋育英との激闘を制し、悲願の初優勝を達成。前回大会で掴み損ねた栄冠をしっかりと手中に収めた。あれから4か月。選手権優勝の喧騒を経たチームに、浮かれた雰囲気は一切なく、熾烈なポジション争いがそこでは展開されている。連覇を目指すシーズンとなる星稜の現状と注目ポイントを、指揮官へのショートインタビューと今季のキーマンから探る。
 
【高校選手権決勝プレーバック】 星稜 4-2 前橋育英
 
■河崎護監督インタビュー
 
――改めて選手権優勝おめでとうございます。優勝後のお祝いムードも落ち着いてきましたか?
 
「卒業式が終わって、今はもう新たな気持ちでいます(※インタビューは3月16日に行なった)。優勝した後は、ありがたいことにパレードや祝賀会などで忙しかったけど、だいぶ落ち着いてきました」
 
――新チームには『選手権優勝チーム』の重圧もあるのでは?
 
「昨年は主力の多くが3年生で、優勝をピッチで経験しているのは、GKの坂口璃久のみ。だから、優勝したことでその余韻にいまも浸っているようなことはないと思います。逆に先輩の背中を見てきた新3年生たちが新たな気持ちで、これからの戦いに臨むでしょう。今の彼らには厳しいレギュラー争いが待っている。もちろん『選手権優勝チーム』というプレッシャーは、いずれ出てくると思いますが、彼らの目の前にいま突きつけられているのは、『メンバーに入る、レギュラーになる』ということ。プレッシャーが掛かってくるのは、もう少し先でしょうね」
 
――フィールドプレーヤーには昨年、確固たる主軸がいなかっただけに競争も激しくなりそうですね。
 
「今年のスタートの段階では、去年11月の新人大会で優勝した時に出ていたメンバーが出ていましたが、何試合かやっていくうちに、メンバーが何人か替わってきている。『ヨーイ、ドン』で始めた新チームで、もしかしたら気持ちの強い選手がどんどんチャンスを掴んでいくのかなと感じました。選手たちにも『競争していく』ということを伝えています」
 
――今年はどういったチームになりそうですか?
 
「今年はより全員攻撃・全員守備と、ハードワークの徹底が重要になると感じているし、その意味でも攻守の切り替えができない選手では厳しい。(主軸となる)阿部雅志や大橋滉平といった選手たちに関しては、2年生の時と3年生の時では要求するものが変わってくる。それをしっかりこなせなければ、彼らであってもレギュラーポジションがどうなるか分からない」
 
――連覇を目指すシーズンになりますが、まずはチームの基盤を固める時期であると。
 
「いまの時期は失敗する選手も多いと思うし、ひとつのミスから失点して負けるという試合を結構やっているのですが、それも大事な成長過程のひとつと受け止めています。チームのために一生懸命走って、コーチングをしてプレーし続けることが大事なので、ハードワークができないならメンバーから外す。そういう厳しさと我慢を持ってやっていくことで、チームができ上がっていくと思っています」

次ページ勇猛果敢に仕掛ける星稜のキーマン。

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