「パリSGに騙されている」そう言い返したS・ラモスをペレス会長は突き放し…難航する契約延長交渉の舞台裏【現地発】

2021年02月07日 エル・パイス紙

「君にとってよりいいことじゃないか」と…

S・ラモス(右)の契約延長を巡るペレス会長(左)とのやり取りが明らかになった。 (C)Getty Images

 2018年5月、チャンピオンズ・リーグ(CL)決勝の会場となったキエフでのことだった。レアル・マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長はキャプテンのセルヒオ・ラモスに対し、リバプールを下してビッグイヤーを獲得すれば、2021年6月に満了する契約を延長すると約束した。

 そしてマドリーは3-1で完勝。クラブ史上13度目のCL制覇を果たした。しかしその2018年、中国への移籍騒動を演じた2019年、人類がパンデミックに襲われた2020年を経ても契約は更新されないまま、ついに最終年に当たる2021年に突入した。

「もし許されるのであれば、セルヒオ・ラモスには一生マドリーにいてもらってもいいくらいだ」

 昨シーズンのラ・リーガ制覇直後にこう明言したように、ペレスは基本的には残留を望んでいる。一方で、S・ラモスも残留が第一希望だ。しかし昨シーズンの新型コロナウイルスによる中断時に、選手全員の10パーセントの給与と各種ボーナスのカットの合意を取り付けるなど、ピッチ内外でキャプテンシーを発揮してきた自負のある彼は、その働きに見合った新契約を希望しており、いま提示されているオファー内容を不十分と見なしている。

【動画】雪が舞い散る練習場で、ムキムキの上半身を披露するS・ラモスの姿はこちら
 数週間前にこんなことがあった。S・ラモスはパリSGから年俸2000万ユーロ(約25億円)のオファーが届いる旨をペレスに報告した。しかし、ペレスは事前にパリSGのナセル・アル・ケラフィ会長に直接電話でオファーがないことを確認していた。

 その話を聞かされたS・ラモスは「ナセル・アル・ケラフィに騙されている」と言い返すも、会長はオファーの受諾を勧めるようにこう突き放したという。「君にとってよりいいことじゃないか」

ちなみにオファーの有無についてナセル・アル・ケラフィ会長に近い関係筋に問い合わせると、S・ラモスへの興味そのものを否定した。「事実ではない。2000万ユーロだって?(キリアン)エムバペよりも稼ぎが多い。馬鹿げた話だ。パリSGを利用する人間が多すぎる」

 S・ラモスの希望が複数年契約であることを知るペレスは、今シーズンも含めた在籍期間中の給与10パーセント減を条件にしている。S・ラモスに近い関係筋によると、金銭面が焦点となっていることは認めながらも、不満のひとつとしてクラブ側の交渉の進め方があるという。
 

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