「完璧なパスなんて1本もなかった」柏が狙うボタフォゴのエースは本田圭佑の“通訳代わり”。尊敬の対象から「反ホンダ派」に…【現地発】

2021年02月03日 リカルド・セティオン

200万ドルのオファーでも首を縦に振らない。

本田がボタフォゴ時代に通訳を務めることもあったというペドロ・ラウール(右)。(C)Getty Images

 柏レイソルが、本田圭佑がプレーしていたボタフォゴのストライカー、ペドロ・ラウールの獲得を狙っている。しかし、いくつかの理由からこの交渉はなかなか進展しない可能性がある。

 レイソルは当初、セアラーに所属する24歳のFWクルーベルを狙っていたが、その話がご破算になったため、ターゲットをペドロ・ラウールに切り替えた。彼は今シーズン39試合に出場し、12ゴールを決めている。ボタフォゴの不動のレギュラーであり、チームMVP級の働きを見せている。

 本来ならば決して手放したくない選手ではあるが、ボタフォゴの懐事情はひっ迫している。チーム存続のために、背に腹は変えられない。

 レイソルからまず150万ドル(約1億5000万円)のオファーが来たが、ボタフォゴにとって十分な金額ではなかったため受け付けなかった。なぜなら、ボタフォゴはP・ラウールと契約する時、年俸を安くする代わりにこういう条件を出していたのだ。「今シーズンの60%以上の試合に出場した場合には、150万ドルのボーナスを支払う」――。もちろんこの条件をクリアしている。

 つまり、そのボーナスを支払うと、移籍金をすべて消えてしまう。それどころか、彼の保有権の30%は、かつて所属していたポルトガルのギマラエスが持っており、移籍金の30%を渡さなければならないため、事実上の"赤字"となってしまうのだ。

【動画】柏レイソルが獲得を狙うボタフォゴの主砲ペドロ・ラウールの厳選プレー集
 続いてレイソルから200万ドル(約2億円)を提示されたが、それでもボタフォゴは首を縦に振らない。もっと金額を上げるように要求しつつ、他チームからより高額のオファーが来ることを期待している。Jリーグの第1次登録期間は4月2日まであり、少しでも有利な契約ができるよう交渉を長引かせるのは、よくある手段である。

 現在24歳のP・ラウールは193センチの長身で、多くのチームの注目を集める存在とは言えないものの、ボタフォゴの中ではスターだ。

 英語も話せるため、アウトゥオリ監督がチームを去った後は、本田にとって唯一の言葉の通じる相手でもあった。通訳代わりになっていたこともあり、当初は本田との関係も良好で、彼を大いにリスペクトし、「多くのことを学びたい。良いコンビプレーができたら嬉しい」と語っていた。だが……。

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