赤と青の鮮明なコントラスト――マンチェスターダービー「5つの要点」

2015年04月13日 田嶋コウスケ

フェライニが放った圧倒的な存在感。

1)意地を見せた「赤」の名門
 
 リーグ戦5連勝中の3位ユナイテッドと、最近5試合で2勝3敗と下降線を辿っている4位シティ。169回目のマンチェスターダービーは、この勢いの差がそのまま試合に反映する形となり、4-2でユナイテッドに軍配が上がった。
 
 縦への仕掛けの意識を強く持ったシティが試合の主導権をまず握り、8分、シルバのラストパスからアグエロが決めて先制する。
 
 対するユナイテッドは、なかなか前にボールを運べない苦しい展開が続いたが、14分にクロスボールのワンチャンスをヤングがモノにして息を吹き返すと、そこからシティを圧倒。フェライニのゴール(27分)で逆転して前半を折り返し、後半にも2点を加えて快勝した。
 
 2011-12シーズン以降、ダービーで1勝6敗とシティに圧倒されっぱなしだったユナイテッドが、久々に名門の意地を見せた快勝だった。
 
2)ユナイテッドの抜け目ない試合運び
 
 ユナイテッドは3-0と完勝した29節のトッテナム戦から、メンバーとフォーメーションをほぼ固定。今回のダービーでも、継続採用の4-1-4-1で安定した試合運びを見せた。
 
 押し込まれた序盤は守備ブロックを整えて耐えしのぎ、ロングボール→クロスボールという直線的な攻撃からヤングが同点ゴールを奪取。以降、中盤のボール支配率を高めていくと、27分に今度はヤングが得意の右足で絶妙のクロスを送り、ファーサイドに詰めたフェライニが逆転のヘディングシュートをねじ込んだ。
 
 リードした後半はペースをやや落とし、60分を過ぎると4-4-1-1にシフトして重心を下げる。強靭なフィジカルでボールを収め、基準点となるフェライニをトップ下に置いてカウンターをちらつかせ、注文通りのショートカウンターとFKから2点を追加して勝負を決めた。
 
3)圧倒的だったフェライニの存在感
 
 ファン・ハール監督が「攻守両面でバランスが取れるキーマン」と話すその言葉どおり、194センチのフェライニが圧倒的な存在感を放った。
 
 14分の同点ゴールは、GKデ・ヘアからのロングボールにフェライニが競り勝って生まれた。みずからが決めた逆転弾は、ヤングのクロスに頭で合わせた。相手DF(クリシ)の対応の甘さもあったが、巧みにファーサイドへと回り込んでシティの守備陣を混乱に陥れた。
 
 優れた身体能力を活かしたボール奪取など守備でも貢献したフェライニは、アンカーのキャリックとともに中盤を制圧。67分には、そのボール奪取からマタのゴールを導いた。
 
 守備では潰し役、攻撃ではターゲットマンとして、フェライニの活躍はまさに大車輪だった。
 
 
 
 

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