【千葉】クラブの新たなシンボルへ――井出遥也、覚醒の時を告げる2ゴール

2015年04月12日 本田健介(サッカーダイジェスト)

スコアレスで迎えた終盤に、大仕事をやってのける。

2ゴールと結果を残した井出。ゴール後には喜びを爆発させた。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

「やりましたー!」
 
 拡声器を手に井出が叫ぶと、一際大きな歓声がスタジアムを包んだ。
 
 大宮との一戦は、前半からチャンスを作るも決め切れず、嫌な空気が流れる展開だった。しかし77分、サポーター期待の男が試合を動かした。交代出場の田中が左サイドでボールを持つと、猛然とゴール前に飛び込んだのが井出だった。
 
「ちょっと入り過ぎたけど、イメージどおり触れた」
 
 田中のクロスに右足でわずかに触れると、軌道が変わったボールは大宮GK加藤の指先をすり抜けゴールへと突き刺さった。そして3分後、直前まで歓喜の輪の中心にいた背番号26は、再び大仕事をやってのける。ペチュニクの落としを受けると、「自分の形」と振り返ったドリブルで仕掛け、右足でゴール右隅へと華麗に流し込んだ。
 
 勝利をもたらす2ゴール。さらにこの日、前節まで首位の磐田が岡山と引き分けたため、再びチームを1位に浮上させる貴重な得点になった。
 
 ユースから昇格して4年目。昨季32試合・4ゴールと結果を残すと、今季はリーグ開幕戦でスタメンの座を掴み、決勝ゴールを奪うなど好スタートを切った。
 
 そしてこの日も、2列目の右で先発すると、守備では「ミーティングでの指示どおり」と、右SBの北爪と協力して大宮のドリブラー、泉澤の突破を食い止めた。また攻撃では、「自分がサイドに張ることで、真ん中のモリさん(森本)とネイツ(ペチュニク)を空けようと思った。そしてふたりに出た瞬間に、自分が中に入っていった」と、森本、ペチュニクとの絡みでチャンスを演出した。

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