「日本人の良さは確実にある。でも課題は…」柴崎岳が思い描く日本代表が進むべきビジョン【インタビュー後編】

2021年01月21日 豊福晋

「航とはもともとバランスが取れている」

日本代表の司令塔を担う柴崎。チームの今後を語った。写真:龍フェルケル

 浮き沈みもあった1年だった――柴崎岳はそう2020年を振り返る。

 所属した当時スペイン2部リーグのデポルティボは前半戦に低迷、終盤にコロナウイルスが呼び起こした騒動に巻き込まれる不運もあり、最終的に3部リーグに降格した。1部に引き上げるという思いを胸にガリシアの地を踏んだ柴崎だったが、その夢は叶わなかった。

 降格の責任を感じ、悩みながらレガネスに移籍した今季。柴崎は獲得を自ら望んだホセ・ルイス・マルティ監督の下で攻守の中心として躍動している。昨季達成できなかった目標を追いかけ、21節現在チームは昇格プレーオフ進出圏内にいる。1月2日から始まった後半戦で1部への切符を掴み取る可能性は十分にある。

 そしてもうひとつのチーム、日本代表においても、柴崎はロシア・ワールドカップ以降、継続的にプレーしており中核となっている。カタール・ワールドカップまで残り2年。2021年の彼は自身と日本代表について何を考えているのかーー。

前編はこちら

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――あと半歩を追求して声に出す意識が、今このタイミングで生まれたきっかけはあった?

「そういう意識が出てきたのはキャリアで見るとここ1年と少し、デポルとレガネスでかな。スペインでボランチをやるうえでは、チームメイトに指示を出したり、『こうしよう!』と言ったりしないと、どうしても守備のオーガナイズがずれていく。

 スペインでは味方に指示するのが当たり前で、それをしないで相手に後ろからボールを取られたりすると、『お前が指示しなかったから奪われた』と言われたり、そんなジェスチャーをされる。そういった環境で中盤としてプレーするなかで、『いくな!』とか『いけ!』という声は自然に出るようになってきた。その派生で、代表でもそういう指示をするようになった」

――日本代表で遠藤航と組んだボランチには安定感があった。

「航にはそこまでは言わないかな。航とはもともとバランスが取れているし、どちらかというと相手の追い方やコースの切り方、どこに立ってほしいという要望をサイドハーフや自分より前の選手に伝えることが多い。SBもそうだね」

――ピッチ上でのコミュニケーションを増やしたことで、連係面の向上は感じる?

「以前よりは相手に崩されづらくなったというのはある。守備において、大きな問題に陥るような状況にはなっていない実感もある。この点は今後もより良くしていきたい。もっと精度も質も上げられるはず」
 

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