フライブルクの好調を支える“最高額”のフランス人MF。ブレイクの裏にある“ぶれない”クラブ哲学とは?【現地発】

2021年01月20日 中野吉之伴

地元紙が挙げた好調の3つを要因とは?

クラブ史上最高額で加入した新戦力のサンタマリア。1000万ユーロに値すると判断した理由は? (C)Getty Images

 ブンデスリーガのフライブルクの好調ぶりが、ドイツで注目されている。

 シーズン序盤はなかなか勝星に恵まれず、10節までにわずか1勝と苦しんでいたが、12節のビーレフェルト戦を2-0で勝利すると、そこからクラブ記録となる5連勝。第16節でバイエルンに敗れるまでは、順位も8位まで押し上げていた(現在は9位)。

 好調の秘密について、ドイツの地元紙はざっくりと「1、新加入のバティスト・サンタマリアやエルメディン・デミロビッチが適応し、イタリア代表ヴィンチェンツォ・グリフォが復調」「2、3バックと4バックの併用が機能」「3、特定の得点源に頼らない攻撃陣」の3つを要因として挙げている。

 それでは、これらをどのように実践したのか。語るには、クラブの確かな哲学に裏付けされた取り組みがあることを度外視して考えることはできない。

 まず、どれだけ上昇気流にのっていても、フライブルクでは監督も選手もスタッフも絶対に浮かれたりはしない。それはクラブの置かれた立ち位置と自分たちがやるべきことがはっきり、よくわかっているからだ。MFニコラス・ヘフラーは「僕らにとって一番大事な目標は降格しないこと」と言い切り、「それが達成されるまでは夢を見たり、力を温存したりする理由なんてひとつもないよ」と語っている。
 
 今シーズン開始前のフライブルクは、例年通り、主力選手を失うところがスタートだった。ドイツ代表に選出されるまで成長したFWルカ・バルトシュミートとCBロビン・コッホはそれぞれベンフィカとリーズ・ユナイテッドへ、そして正GKアレクサンダー・シュボローはヘルタ・ベルリンへ移籍した。

 失った戦力を補強するために、どのような選手をリストアップすべきか。どのクラブでも、それぞれの思惑やプランに応じて探すわけだが、その選手がチームに"ハマる"かどうかは、未知数と捉えるところが多いのではないだろうか。

 フライブルクにおいてもそれは例外ではなく、"外れ"と評される移籍話もある。それでもこのクラブの入念な分析と確固たる意図をもって選手獲得に動く姿勢は、高く評価されているのだ。

 どんな選手がチームに合うのかを分析するためには、自チームにどんなサッカーを目指し、そのためにはどんな選手が必要かという自クラブのサッカー哲学に基づいたプランがなければならないし、このクラブでプレーする意味を正しく解釈するコンセプトがなければ難しいだろう。

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