ラームを彷彿させる存在感! ドイツ代表キミッヒがバイエルンにもたらす絶大な効果とは?【現地発】

2021年01月08日 中野吉之伴

「キミッヒの投入で局面が変わる」

攻守に特大の存在感を発揮しているキミッヒ。(C)Getty Images

 ブンデスリーガの第14節終了時で、順位表の一番上にある名前は、相変わらずバイエルンだ。44得点はリーグ最多。ここ20試合に負けたのは、リーグ第2節のホッフェンハイム戦だけ(1-4)と、戦績だけを見れば何の問題もないように思える。

 ただ、数字ほど今シーズンのバイエルンに楽勝ムードは漂っていない。それは、直近8試合連続で、必ず対戦チームに先制点を許していることからも窺える。前節マインツ戦でも前半は完全に負けモード。相手の対策に手を焼き、カウンターとセットプレーから連続失点してしまった。

 毎試合後、「失点するまでうまく試合に入れなかった」「失点してから目が覚めた」というようなコメントが監督、選手、関係者からでてきては、「次の試合ではこうならないように集中力を高めて臨みたい」と繰り返す。

 だが、同じようにミスから失点をし続けている。いくら王者とはいえ過密日程の疲れはあるし、少なからず気も緩んでしまうものなのだろう。それでも、最終的には試合をひっくり返して勝利してしまうのだから恐ろしい。

 そんな勝者のメンタリティを体現する選手の代表格が、ヨシュア・キミッヒだ。第7節ドルトムント戦で、膝の半月板損傷をして離脱を余儀なくされると、そこから復帰まで42日間を要した。そして、13節のレバークーゼンで久しぶりのメンバー入りを果たすと、気持ちを抑えることができないのか、試合前から気合い満々。バイエルンの選手で唯一、半袖でアップを行なっていたほどだ。
 
 とはいえ、本来まだ出場の予定はなかったと、試合後にハンジ・フリック監督は明かしている。

「ハーフタイムに話をした。彼は私にはっきりと、試合に出る準備は完全にできていて、全く問題はないと言ったんだ」

 0-1で相手にリードを許した展開で迎えた68分、キミッヒはコランタン・トリソと交代で出場。すると、ゲームの流れがするするとバイエルンに傾いた。

「ヨシュアは今日再び、チームにとって非常に重要な選手だということを示してくれた。彼がピッチにいるというだけでチームの助けになるんだ。ダビド・アラバとヨシュアをボランチに置くことで、ゲームをよりコントロールすることができた」(フリック監督)

 指揮官はキミッヒの投入効果をそのように語り、ハサン・サリハミジッチSDは「出場するとすぐにゲームに落ち着きをもたらしてくれた」と絶賛した。

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