一般観客なしの高校選手権。西が丘で戦った選手たちの感想は?

2020年12月31日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

無観客に近い舞台でのメリット、デメリットは?

一般観客なしで行なわれた高校選手権の1回戦。ゴールの瞬間は選手たちの喜びの声が広く響き渡っていた。写真:早草紀子

 高校選手権開幕の2020年12月31日、1回戦・第1試合のキックオフ1時間10分前に都営三田線の本蓮沼駅に到着。しかし、味の素フィールド西が丘に向かうためホームに降りると、ほとんど人がいない。例年なら一般観客で賑やかなはずのホームが信じられないほどシーンとしている。

 スタジアムへ向かう道中もかなり寂しい。「本当に今日試合あるのかな?」と疑ってしまうくらいの静けさがそこにはあった。新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、1回戦から決勝まで観戦は出場校の保護者など学校関係者に限定された今大会の選手権。ひっそりとした雰囲気に包まれたスタジアム周辺でテレビ中継車を発見してようやくホッとできた自分がいると思うと、一般観客なしという状況下はやはり異常のようにも映る。

 こうしたシチュエーションで選手たちは選手権の舞台を楽しめるのか。大観衆のいるスタジアムでできる喜びを味わってこその選手権ではないかと、そんな疑問が浮かび上がる。もちろんコロナ禍で贅沢など言っていられない。本大会を開催できただけでも御の字との捉え方を本来ならすべきなのだろう。とはいえ、選手たちの本音はどうなのか、そこは気になるところだった。
 
 その疑問に答えてくれたひとりが、大手前高松高の主将でGKの三谷幸記だ。札幌大谷高戦で見事なセーブを連発して勝利(1-0)の立役者となった守護神は冷静な口調で「自分たちの声が通りやすかったのでやりやすい」とポジティブな意見を述べてくれた。しかし、やはり「応援がない」のは寂しいようで、プラスアルファのパワーをもらえる"声援"がない状況下では「(応援の力を借りず)自分たちですべてやらないといけない」とも言っていた。

 この日の第2試合でルーテル学院を1-0で破った丸岡高のDF飯田晃明も、一般客なしのメリット、デメリットを次のように語ってくれた。

「(メリットは)選手とコーチ間でコミュニケーションが取れました。相手の2トップを抑えるうえでもコーチと言葉を交わせたのは大きかったです。デメリットは雰囲気的なものですかね。応援がある、なしで緊張感、モチベーションも変わってきます。緊張感を欠かないように戦っていきたいです」

 デメリットに目を向けるのではなく、メリットの部分を最大限に生かすにはどうすべきか。コロナ禍での選手権を勝ち抜くうえでは、そこもポイントのひとつになるだろう。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)

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