闘将シメオネに激怒したJ・フェリックス。“アトレティコの顔”を二流選手扱いすべきではない【現地発】

2020年12月23日 エル・パイス紙

CLの大一番でスタメン落ち

ダービーで早期交代となり、怒りを露わにしたJ・フェリックス。(C)Getty Images

 アトレティコ・マドリーがレアル・マドリーとのマドリード・ダービーで喫した敗北(0-2)はチームに様々な不確定要素をもたらした。中でも最も顕著なのが、またしてもビッグゲームで二流選手の扱いを受けたジョアン・フェリックスを巡る騒動だ。

 記憶に新しいのが、昨シーズンのチャンピオンズ・リーグ(CL)のライプツィヒ戦だ。アトレティコは1-2の苦杯を喫し準々決勝敗退を余儀なくされたが、その大一番のスタメンにJ・フェリックスの名前はなかった。

 一方、マドリー戦ではスタメンで出場したものの、終始相手のペースで試合が進み、アトレティコが劣勢を挽回するにはエベレスト級の過酷な登頂を強いられていた最中の60分に交代を命じられた。

 J・フェリックスは周囲の期待を一身に背負いプレーを続けている。近年のアトレティコにおいてこれほど注目を集めた選手はいなかった。チームが過度期を迎え、サッカー界全体に目を向けてもクリスチアーノ・ロナウド(ユベントス)とリオネル・メッシ(バルセロナ)がキャリアの晩年に差し掛かっている。そんなタイミングでJ・フェリックスは昨夏、ポルトガルの名門ベンフィカに彗星の如く現れたニュースターとして鳴り物入りで加入。1億2000万ユーロ(約150億)という移籍金はまさに期待の大きさの裏返しであった。

 ただ移籍金の高さは、良くも悪くもその後のキャリアに付いて回る。これは同じく若くして巨額の移籍金を伴って新天地を求めたバルセロナのウスマンヌ・デンベレやチェルシーのカイ・ハベルツにも言えることだが、今後の活躍次第で安い買い物だったと賞賛される可能性もあるし、"不良債権"と揶揄される恐れもある。

【動画】シメオネにまさかのブチギレ!激怒するJ・フェリックスの様子はこちら
 J・フェリックスの才能に疑いの余地はない。イマジネーション、狡猾さ、卓越したテクニック、広い視野、得点センスを兼備し、違いを生み出すことができる稀有な選手だ。メンタルの強さも特筆に値し、チームが劣勢を強いられれば強いられるほど、リーダー役を買って出る。さらに今シーズンはプレーメーカーとしての働きに加え、フィニッシュにも冴えを見せており、ラ・リーガで5点、CLで2点をマークしている。

 アトレティコはマドリーに敗れるまで開幕からラ・リーガで無敗を誇っていた。その快進撃においてJ・ジョアン・フェリックスが果たしていた貢献は絶大で、その堂々としたプレーぶりからは昨シーズン、チーム戦術に適応できずに賛否両論を巻き起こしていた姿はない。

次ページ1点ビハインドの後半早々にエースをベンチに下げることは考えられない

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