【日本代表】本田圭佑の「二面性」が示す新チームの岐路

2015年04月01日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

青山と川又のゴール後に浮かべた対照的な表情。

献身的なプレーが目立ち無得点に終わった本田。青山と川又のゴール後には対照的な表情を浮かべた。 写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 3月31日のウズベキスタン戦で、本田圭佑が彼らしいとも言える「二面性」を垣間見せた。その対照的な表情から、日本代表がひとつの大きな岐路に立っていることを印象付けた。

2015.3.31国際親善試合|日本 5 -1 ウズベキスタン

 開始6分、青山敏弘がボールを正確にミートし、スーパーミドルを叩き込み先制点を奪った場面。長谷部誠の欠場により久々にキャプテンマークを巻いた本田は率先し、ピッチ上の選手たちを手招きしてベンチ前に呼び寄せ、歓喜の輪を作る。彼も小さくジャンプしながら青山の頭を「よくやったぞ」とばかりに叩いて、満面の笑みを浮かべた。

 一方、試合終了間際の90分、CKの流れから川又堅碁がこぼれ球を強引にヘッドで捻じ込み、チーム5点目を決めた場面。ガッツポーズを作ってベンチに駆け寄る川又を、控え選手たち(とくにJリーグ組)が同じように両腕を挙げて出迎える。

 すでに大迫勇也と交代していた本田は、コーチングエリアに立つ監督から一番遠く離れたベンチの端に座っていた。少し間を置いて立ち上がった彼はひとり、ベンチの選手が向いているのとは逆方向にあるゴール裏の電光掲示板に映る川又のゴールシーンのリプレーにじっと見入っていたのだ。

 その後、輪に加わったもののそこまで喜んだ表情を浮かべなかったことが、むしろ周りとは対照的で、目立ってしまっていた。

 5-1とトドメを刺す1点。すでに戦意喪失した相手からのゴールであり、そこまで喜ぶ必要などない、ということだったのかもしれない。一方で、本田自身はこの試合ノーゴールに終わっていただけに、いずれはライバルにもなり得るアタッカーの得点に、少なからずジェラシーや悔しさといった感情を抱いたのかもしれない。

 とはいえ、川又にとっては記念すべき代表初ゴールだったのだから、やや大人気なかったようにも映る。言い変えると、心情を決して隠せない、本田がこれまで常に持ち続けてきた、少年のような一面を覗かせた一瞬だったと言えた(それが「リトルホンダ」なのかもしれない?)。

 また、悔しさは試合後のコメントにも、うっすらと滲んでいた。

「勝利という結果を残せて、嬉しく思う。5-1という結果について、そこまでポジティブな意見は必要ないかな。でも、1失点したところ。あの時間帯に失点したところこそ課題にしないと」

 日本が3-0でリードして迎えた82分、ウズベキスタンにCKのこぼれ球をねじ込まれ、この日唯一の失点を喫した。

次ページ無得点に終わったが、「このサッカーでなにが必要かは明確になった。新鮮な気持ちがする」と多くの収穫も。

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