需要高まる大卒Jリーガー。早大・外池監督が考える大学サッカーの価値とプロ内定選手に求めたこと

2020年12月16日 安藤隆人

社会人としても経験を積んでいる元Jリーガー指揮官が重視するプロになるために必要なものとは?

2022年の清水加入が内定している加藤拓己。来季は大学とプロとしての両立が求められる。写真:安藤隆人

 近年、Jリーグでは大学サッカーからプロ入りした選手たちの活躍が目覚ましい。Jクラブから見ても即戦力として計算できる大卒選手の需要はさらなる高まりを見せており、今年も明治大からは実に10人のプロ内定選手が誕生するなど、関東大学リーグに所属する多くのチームがプロ内定選手を抱えている。

 現在、明治大と首位を争っている早稲田大も3年生ストライカー・加藤拓己の清水エスパルス内定、4年生ボランチの鍬先祐弥のV・ファーレン長崎内定が発表された。

 早稲田大ア式蹴球部を率いるのは、チームのOBであり、ベルマーレ平塚(現・湘南ベルマーレ)を皮切りに11シーズンのプロ生活を送った、元Jリーガーの外池大亮監督。プロ選手、指導者としての顔以外にも現役引退後に広告代理店の大手である電通に勤務し、現在はスカパーに勤務するなど、社会人としても経験を積んでいる外池監督は、プロになるために必要な要素をどう捉えているのか。話を聞くと、まずは『主体性』が重要な鍵になると答えた。

「何かの指示を受けてプレーを選択するのではなく、その試合に臨むまでの過ごし方だったり、ゲームへの向き合い方だったり、大きく言えば自分がいる社会の中でどう生きていくか、どうなっていきたいかに至るまで、自分やチームに留まらず、社会や大学サッカーという世界を俯瞰しながら取り組める視座が必要だと思っています」

 大学サッカーは、サッカーだけを教える場ではない。4年間という歳月をかけて、視野を広げ、常に『社会とサッカーと自分』というものを相対的、かつ主体的に捉えて行動をする人間になるアシストをしていく場だと外池監督は捉えている。

「そのためにはまず彼らのアイデアや意思を尊重しながら、我々スタッフが積極的なディスカッションを行なっていくことが大事になります。その上で自分が置かれている状況、求められていることを感じ取って、アクションを起こしていく。もちろん我々、大人スタッフも変化の早い社会の中で、自らの経験だけに囚われないことを基軸としながら、その選手が置かれた状況をリスペクトすることが前提となります」
 

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