失速するバルサ、クーマンの4-2-3-1は“メッシ依存”のチームに有効なのか? 最大の誤算は…【現地発】

2020年12月12日 エル・パイス紙

「問題が起これば、いつも僕のせいにされる」と苦言

伝統の4-3-3を捨てたクーマン。ただメッシを活かせているとは……。(C)Getty Images

 バルセロナの失速が止まらない。ラ・リーガで首位のアトレティコ・マドリーから引き離され、CLでユベントスを相手に惨敗(0-3)を喫し、グループステージ首位通過を逃した。

 通常であれば、ロナルド・クーマン監督の進退問題が取り沙汰されても不思議ではないが、今のバルサにはこのオランダ人指揮官に全てを託さざるを得ない事情がある。クラブの最高議決機関である理事会はジョゼップ・マリア・バルトメウの辞任に伴い「空位」となっており、あらゆる決断が来年1月24日に行われる会長選挙待ちになっているからだ。

 これまでであればこのような厳しい状況に陥ってもリオネル・メッシがピッチ上で獅子奮迅の活躍を見せ支えていたが、オフに退団騒動を起こして以来、クラブとの関係にヒビが入ったままで、本人が「問題が起これば、いつも僕のせいにされる」と苦言を呈する始末。解決策ではなくなっている。

 そんななか、議論の焦点になっているのが、クーマンが就任以来、伝統の4-3-3を捨ててまで一貫して採用している4-2-3-1の機能性についてだ。たしかにセルジーニョ・デストを除けば、リクエストしていたCBとFWの補強が見送られ歪なスカッドのまま采配を振るっているというエクスキューズはある。

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 とはいえ、問われているのは目指しているサッカーの性質だ。ハイプレスを駆使してボールを奪い、素早くショートカウンターを仕掛ける。クーマンの目指すこのアグレッシブなサッカーはスピード、フィジカル能力、緻密な連携という3つの要素が高次元で融合してこそ機能するものだ。しかし、近年多くの選手がメッシに依存することに慣れきってしまい、インテンシティもお世辞にも高いとは言えないバルサ向きのシステムかといえば、疑問が生じるのだ。

 かといって戦術の練習を行なおうにも、過密日程が続き時間が思うように取れない。ともすれば、前線にひとりでも多くのビッグネームを並べることができる4-2-3-1の採用は、チーム内のヒエラルキーを意識した策にも映る。

 なかでも誤算は指揮官が戦術上のキーマンとして位置付けているMFフレンキー・デヨングの不振だ。ミラレム・ピャニッチ、セルヒオ・ブスケッツとパートナーを入れ替えても、低調なパフォーマンスに終始している。

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