リーグ女王が皇后杯で好発進!浦和Lに復帰後、猶本光はなぜチームの“柱”となれたのか?

2020年12月11日 佐藤亮太

猶本は「毎年、毎日の積み重ね」と一貫した姿勢を語る

6年ぶりになでしこリーグを制した浦和レッズレディース。(C)SOCCER DIGEST

 浦和レッズレディース(浦和L)MF猶本光はチームの大黒柱へと成長を遂げようとしている。

 12月6日、カンセキスタジアムとちぎで行なわれた皇后杯2回戦で、浦和レッズレディース(浦和L)は、なでしこリーグ2部 FC十文字VENTUSに5-0の完封勝利。ゲームを通して相手を寄せ付けず、リーグ女王の風格を見せつけた。

 この試合、トップ下でフル出場した猶本は安定したプレーで2点に絡みつつ、ほかの選手同様に前後左右に広大なエリアを滅私奉公で動き回った。

【動画】女王の風格で5-0完封!浦和L、皇后杯2回戦のハイライト

 猶本は今季リーグ戦、18試合中16試合に出場し5得点。数字を見る限り、盤石なレギュラーのように思えるが、その実は違う。

 出場した16試合のなかで、前半のみの出場が4試合。60分以内で交代した試合を含めると7試合を数える。これはシーズン前半に集中しているが、盤石なレギュラーと呼べる数字ではない。
 
 なぜ、猶本はシーズン序盤、前半のみの出場が多かったのか?

 そこには森栄次監督の冷静な判断があった。3節(8月2日)日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦後にこう指摘している。

「猶本は昨年1年間サッカーをやってきた選手ではないので、連係として、うまく入り切れていない。個人的には猶本は良い選手だと思っている。パワーがあり、キック力もある。ただ『いま行くところ』とか『いまは行くところではない』などの連係でまだちょっと周りとのズレがある」

 つまり、この時点で森監督は猶本がチームにフィットしていないと判断していたことが分かる。

 ではどのように猶本は指揮官が指摘したズレを解消し、出場時間を増やしたのか。そこには猶本の一貫した姿勢が窺える。

 皇后杯2回戦後、猶本は「(成長は)もちろん、技術も上がったと感じている。ただ(以前)浦和Lにいた時も自分がどうすれば成長するかを考えていた。ドイツに行っても課題を見つけ、取り組んできた。だからドイツに行ったからといって、いきなり成長したわけではなく、毎年、毎日の積み重ねだと思う。1年半、浦和Lにいなかった分、戻ってきたインパクトで、ドイツで成長したと言ってもらえるのかもしれない。でもドイツに行って環境が変わっても、練習や試合の映像を見たり試行錯誤した。その証拠がいまだと思う」

 たゆまぬ不断の積み重ねがズレを徐々に解消し、プレー時間の増加にもつながっているのだろう。11節(9月21日)INAC神戸戦を境に出場時間は70分台、80分台に伸ばし、その後3試合にフル出場している。
 

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