【浦和】一体、クラブはどこを向いているのか。さまざまな疑問が沸き上がる監督人事

2020年11月26日 佐藤亮太

公式リリースには退任の理由、経緯は一文字も書かれていない

今季限りでの退任が発表された大槻監督。4-4-2システムの導入で改革を試みたが、目標のACL出場権獲得は絶望的に。(C)SOCCER DIGEST

 11月25日、J1浦和から大槻毅監督の今季限りでの退任が発表された。

 リリースで大槻監督は「我々の目の前にはまだ4試合、大切な試合があります。まずはその試合に向けて、私に課せられた仕事を全うさせていただきます」と意気込みがあった。

 同日、公開練習後、オンライン会見に出席した主将・西川周作は「(退任の)発表があったから負ける姿や負け続けるとか、そういった姿は絶対に見せたくないと監督が話した。逆に僕らは勝つ姿を見せたい」と一戦必勝を誓った。

 大槻監督は2018年4月、堀孝史監督の解任後、新監督決定までの約1か月間、暫定監督として指揮を振るい、翌年5月、オズワルド・オリヴェイラ監督の契約解除を受け、再就任。ACL準優勝に輝いた一方、リーグでは14位に低迷した。

 今季はクラブ強化部の刷新を受け「強くて魅力ある攻撃サッカー」「浦和を背負う責任」などのコンセプトの下、陣容を鑑み、布陣を3バックから4-4-2に変更。相手陣内に押し込み、手早く迫る堅守速攻のサッカーを目指した。
 
 開幕戦となったルヴァンカップ、ホームで仙台に5-2で圧勝。続くリーグ開幕アウェー湘南戦では3-2で勝利するなどチームコンセプトと実際のサッカーが見事にマッチ。期待は高まったが、リーグ再開後、過密日程と選手のコンディション、加えて戦術と個人能力との足並みが揃わず、不安定な戦いが続いた。

 6節・柏に0-4。9節・名古屋に2-6。14節・C大阪に0-3。17節・川崎に0-3と大量失点が目立ち、さらに19節・横浜FC、FC東京、名古屋と3連敗。その後、チームは6戦負けなしと安定したものの、直近5試合は1勝2分2敗。30試合消化時点で13勝6分11敗、勝点「45」の暫定9位につけている。

 今回のリリースを見る限り、立花代表から2度も"火中の栗"を拾った指揮官への労いはあったが退任の理由、経緯は一文字も書かれていない。

 しかし要因は目標に掲げた来季ACL出場権獲得がほぼ不可能となったからだろう。

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