金田喜稔がメキシコ戦を斬る!「敵の“修正”に対応できなかった日本。経験の差が明確に出たシーンが…」

2020年11月18日 サッカーダイジェストWeb編集部

メキシコのシステム変更で流れが変わる

前半にGK1対1を決めきれなかった鈴木武蔵。先制点を奪えていれば……(C) Getty Images

 チャンスがなかったわけではない。前半はメキシコのサッカーをやらせず、シュート数でも崩した回数でも完全に上回っていた。

 ただ、自分たちが主導権を握っている時間帯で、ゴールを決められなかった。あれだけ崩してチャンスを作っていたら、そこを決められるかどうかはもう個人レベルの問題だ。

 前半10分に鎌田がエリア内でフェイントを仕掛けて抜け出た場面で、持ち出したボールが20~30センチぐらい思ったより長くなった。その一瞬の隙を突いて、キーパーのオチョアが前に出てきた。それで鎌田は慌ててアウトサイドでパスを出したが、(鈴木)武蔵にわずかに合わなかった。

 柴崎が縦パスを入れ、左サイドの原口からのパスを受けた武蔵がオチョアと1対1になった場面も同じだ。武蔵のトラップがわずかに大きくなった間に、オチョアが間隔を詰めてシュートコースを狭めている。ここに35歳のキーパーとの経験の差がはっきりと出たと思う。鎌田も武蔵も、そういうキーパーの特徴が頭に入っていれば、もっと繊細にボールを収めていたかもしれない。

【動画】鎌田が鮮やかフェイントで突破するもオチョアの飛び出しでチャンスを逃したシーンはこちら
 
 逆に日本の失点シーンでのシュミットの対応はどうだったか。キーパーの専門家ではないから分からないけど、もう少し詰めるタイミングがあったんじゃないかな。逆に言えば、きっちり決めたヒメネスやロサーノと、日本の選手たちの個の能力の差が出たとも言える。

 そういう個人の差が積み重なり、11対11になるとチーム力に差が表われてくる。

 メキシコは、後半から4-3-3から4-2-3-1に変え、ボランチを2枚にしてきた。前半は、効果的なくさびのパスから崩せていた日本も、このシステム変更で縦パスを封じられてしまった。

 これで中央を閉じられた日本が、いかにサイドから崩すサッカーに切り替えられるかが後半のポイントだったが、伊東、酒井に柴崎が絡む右サイド、原口、中山に遠藤が絡む左サイドともに、サイドチェンジをして先手を取るような、効果的な攻撃ができなかった。

 ベンチが指示するのか、ピッチ上の選手が自分たちで考えるのか。いずれにしても、自分たちのリズムでサッカーができなくなった時に、日本は切り替えることができなかった。自分たちが優位に進めていれば、当然、相手は変えて来る。その時に対応できないようでは厳しいよね。
 

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