「遠藤と伊東には驚いた」英国熟練記者が森保ジャパンの欧州遠征4試合を総括!「前線のベストな選択肢は明らか」

2020年11月19日 マイケル・プラストウ

目についた「活躍組」と浮彫りになった課題

オーストリア遠征の2試合で存在感を示した伊東純也と遠藤航。(C)JFA、写真:龍フェルケル

 最強ではないけれど、良い相手と組んだ4つの試合で、ふたつの勝利、ひとつの引き分けと敗北。生まれたのはたったふたつのゴールで、そのうちひとつはPKだった。この結果は、日本が今、どのようなステージにいるのかを非常によく物語っているように思う。悪くもなく、良くもなく、決して偉大ではない…そして、まだまだやるべきことはたくさんあるということだ。

 敗北したメキシコ戦で最大の収穫と言えるのは、遠藤航と伊東純也の重要性を認識できたことだ。パナマ戦では後半から出場した遠藤、コートジボワール戦での伊東のクオリティーの高さを考えれば、どちらも驚きではない。それにしても、この1年ほどでこのふたりがとても進化していることに驚いた。

 伊東について、正直これまではスピードと豊富な運動量を活かしたプレーが魅力だが、クロスは意図的というより、やや偶然ぎみに良いクロスを上げる、繊細ではない選手だと思っていた。

 だが、コートジボワール戦とメキシコ戦でこの印象が変わった。広い視野と高いスキルを備え、攻守両面で存在感を示していたからだ。鋭いドリブルと素早いパス(長短どちらも)は日本にとって絶好のチャンスを作る手助けとなった。特にメキシコ戦ではスピードを活かして、前半だけで評価すれば、日本代表最高のプレーヤーだった。
 
 ただ、後半は霧に紛れて姿を消してしまった。それは遠藤にも同じことが言える。

 パナマ戦では後半から遠藤が出場して守備を固め、柴崎を解放して日本の攻撃に流れを与えた。メキシコ戦の前半でも同じことが起き、メキシコの高いプレッシャーを受けながらも、中盤をしっかりと閉じて、自分たちのペースで攻撃に持ち込むことができた。日本が中盤を支配し続けられたのは、遠藤が果たした役割が大きいことは明白だ。それだけでも、彼の実力を高く評価できる。

 メキシコ戦の後半で日本が停滞したのは、伊東や遠藤だけのせいではない。ラウール・ヒメネスのゴールが決められたシーンで、日本はバランスを崩していた。イルビング・ロサーノに2点目を奪われた際にもショックから立ち直っていなかった。

 このシーンでは、柴崎の重要性も確立されたと思っている。彼がピッチを去った後にすぐに失点したことは関係ないとは言い切れないし、このことからも、遠藤と柴崎の相性の良さは、特筆すべきものだと認識すべきだろう。

次ページ現時点で日本一の組み合わせは明らかだ

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