【岩政大樹】“なぜ”遠藤航が入って流れが変わったのか?3バックの出来栄えは?2つの観点で読み解くパナマ戦

2020年11月15日 岩政大樹

パナマ戦の難しさの大元はこの試合の位置づけにある

岩政氏がそのポジショニングを称賛した遠藤。写真:龍フェルケル

 日本代表はパナマ代表に1−0の辛勝。国際試合は格下相手でも難しいものですから、結果自体は問題とするべきではありませんが、内容をつぶさに見てみると今後に不安を残すものだった印象は拭えません。

 大前提として、パナマ戦の難しさの大元となったのは、この試合の位置づけだったと思います。森保監督の思惑として、重要視したのは選手のテストだったと考えられます。先月の2試合ではあまり選手を入れ替えなかったため、今回は2試合トータルで見て、出来るだけ多くの選手にチャンスを与えたい思いがあったはずです。

 そこで、次のメキシコ戦のスタメンから構想をして、その上でパナマ戦のメンバーを決めたと思われます。さらに、吉田麻也選手、柴崎岳選手、南野拓実選手というこれまで森保監督が中心として信頼してきた選手と新たな選手を同時に使うという狙いが最優先されたために、結果、3バックをテストしたはいいものの、3バックに適した選手たちが起用されたわけではなく、思うような試合展開に出来なかったのだろうと予想します。とはいえ、いや、だからこそ、見えたものがあった試合だったと言えます。
 
 私は二つの観点からパナマ戦を振り返ってみたいと思います。

 一つは、「"なぜ"遠藤航選手が入って流れが変わったのか」という視点です。後半に起用された遠藤選手が触媒となって一気に流れが好転していったことは、この試合を見ていた誰もが認めるところでしょう。ただ、大事なことは「遠藤選手すごかったな」「さすがだな」「自信もってやってるな」で終わらないことです。そこから、「なぜ遠藤選手の投入であれだけ試合のリズムが変わったのか」、「いかにして試合が変化していったのか」を整理しておかないと、この先に繋がるものは少なくなってしまいます。

 最も分かりやすかったのは遠藤選手がとったポジショニングでしょう。PKに繋がった縦パスを入れ込んだ位置、つまりセンターバック前のセンターサークル付近に常に陣取り、ボールを受けては捌いたことで、前線が活性化されました。前半のダブルボランチは縦関係になっている場面が多く、大体は柴崎選手が一枚だけ3バックの前でボールを受けようとしていました。そこに後半は遠藤選手が並ぶように立ち、3人のセンターバックと2人のボランチが3−2の台形でポジションを取りました。これがパナマ相手には有効だったと思います。
 

次ページ前半に起用された橋本拳人選手が悪かったということではない

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