J7で約40ものスポンサーを抱える“リアル南葛SC”。支援する理由から見えてくるクラブの魅力

2020年11月15日 伊藤 亮

南葛SCとスポンサーの関係とは?【前編】「地域密着」――自社の姿勢をチームが代弁

インタビューに応じてくれたKLab社の大木プロデューサー。南葛SCの試合にも足繫く通う。写真:田中研治

 Jリーグ参入を目指す「南葛SC」は、J1から数えるとJ7の位置に当たる東京都社会人サッカーリーグ1部に所属する。J7のクラブとしては、メディアへの露出は多く、知名度、注目度は高い。しかし、カテゴリ上位のクラブに比べれば、その度合いが等しいとは言えない。

 そんな南葛SCに現在、約40ものスポンサーがついている。数ある選択肢のなかから、なぜこれほど多くの企業・組織が南葛SCのスポンサーになったのか。もちろんクラブ側からセールスを受けたことは事実だろう。だが、そこには費用対効果だけでは考えられない理由があるはずだ。そして、その理由を紐解くことで、南葛SCというクラブの魅力が見えてくる。

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 南葛SCをスポンサードする理由の第一に挙げられるのが「地域密着」だ。

「弊社の運営店舗が葛飾区にあり、様々な地域貢献をしたいという思いから、地元でJリーグ加盟を目標にしている南葛SCを支援、応援することで地域貢献にも繋がると考えました」

 こう語るのは、2015年シーズンから南葛SCのユニホームの左袖にロゴが入っている「プライム薬局」だ。東京都本郷に本社を置く株式会社プライム。東京、神奈川、千葉、埼玉など、関東一円にプライム薬局を展開している。その支店が亀有にある。薬局は地域に不可欠なものであり、そのぶん地元との密着度が高い。

「南葛SCは、葛飾区からJリーグへ!を合言葉に、地域に根差した活動をしており、その存在が地域振興に大きく寄与しています」

 この点は、サッカーと薬局と形は違えど、姿勢は重なる。南葛SCのユニホームにロゴがつくことで、自社の姿勢をチームが代弁していると考えることもできるのだ。

 同じく2018年シーズンから、ユニホームの背中下には「KLab」のロゴが入っている。東京都・六本木に本社を据えるKLab株式会社は、アプリケーションなどを手掛けるIT企業。2017年6月に『キャプテン翼』のスマホ向けアプリゲームをローンチした1年後からスポンサーになった。大木啓彰プロデューサーは自身サッカー経験者であり、熱心なサッカーファン。だからこそ地元密着への意識も高い。
「個人的に好きなので、Jリーグの試合もよく観戦に訪れています。それで思うのは、地元のスポンサーでないとちゃんと応援している空気が伝わらないのではないか、ということです」

 スポンサーについてくれるのは当然ありがたい。だが一方で、なぜその企業がスポンサードしてくれているのか、明確な理由が見えなければサポーターからすると疑問符がつき、認識はすれども、どこか微妙な距離ができてしまう。KLab株式会社の場合は『キャプテン翼』というコンテンツをきっかけに、同じ東京都23区内の南葛SCを応援するという理由が見える。
 

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