「MFで勝負したい」“守備のマルチ”中山雄太が明かしたパフォーマンス向上の理由「森保監督には以前から…」【現地発】

2020年11月08日 中田徹

やっていることは昨季と同じなのに、なぜパフォーマンスが上がったのか?

今シーズンはここまで7試合に出場し、1ゴールを挙げている中山。(C) Getty Images

 ズウォーレの中山雄太は11月6日、フォルトゥナとのアウェーゲーム(エールディビジ第8節)にフル出場した。相手に2度リードを許したものの、同点に追いついたうえ、多くの勝ち越し機を作ったズウォーレだったが、2対2の引き分けに。中山は「もったいなかった。勝点2を落とした感覚です」と残念そうだった。

 左サイドバックとしてプレーした前半を、中山は「セカンドボールを拾えず、相手が攻撃する時間帯が長く、守備に回ることが多かったので、僕自身、もどかしさがありました」と振り返る。後半はアンカーを務め、ルーズボールに身体を投げ出しボールを拾いながら的確にボールをつなげ、チームのリズムを作った。

「そこ(セカンドボールの奪い合い)で違いを出そうと取り組んだ結果、後半は自分たちの時間帯を長くなったと思うので、すごく良かったと思います」

 今シーズンの中山はMF、CB、左SBをこなす多機能プレーヤーとして存在感を増している。しかし、好不調の波が大きかった昨シーズンも、求められていた役割はこの3ポジションをこなすことだった。やっていることは同じはずなのに、今季のパフォーマンスが上がったのはなぜか。

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 シーズン前、中山は「今季はミッドフィルダーとして勝負する」と宣言していた。つまり、MFに軸足を置きながらシーズンを過ごしていることが、功を奏しているのではないだろうか? その仮説を本人にぶつけてみた。

「昨季はチームでセンターバックをやることが多かったんです。センターバックとサイドバックはプレッシャーが限られた角度からしか来ません。しかし、アンカーやボランチは360度からプレシャーが来るので、センターバックから中盤に行く作業は、感覚を取り戻す時間がすごくかかる印象があって大変です。

(今シーズンのように)アンカーをやり続けて360度からプレッシャーが来るスタンスに自分が置かれると、最終ラインに移ってもプレッシャーの角度がただ減るだけ。だから、アンカーを主軸としてプレーすると、物理的にも感覚的にもやりやすくなります」

 つまり、仮説は当たっていたということか?

「そうですね。ただ、それを自分が声を大にして言うと、言い訳になってしまいます。『それでも出来ないと駄目だろう』『それが出来るのが一流だろう』って。でも、経験から振り返ったり、冷静に分析したりすると、『違いはあるんだな』と感じます。これは僕が経験した結果から述べていること。そういうことに気づけたのは、ポジティブだと思います」
 

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