E・ジュニオと庄司の獲得でどう変わる?死に物狂いでJ1昇格を目指す長崎の真の狙い

2020年11月02日 藤原裕久

9月のJ1自動昇格圏陥落を受けて

新たに加入したE・ジュニオ。水戸戦では早速ゴールを奪った。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 昨年7月に負傷離脱するまで横浜F・マリノスで11ゴールを挙げ、リーグトップスコアラーに君臨していたエジガル・ジュニオ。セレッソ大阪に所属し、年代別代表にも何度も名を連ね、2017、18年には期限付き移籍した金沢で守備の中心を担った東京五輪世代の庄司朋乃也。昨季途中にもビクトル・イバルボらを獲得し、大型補強と騒がれたV・ファーレン長崎が、今季もリーグ終盤に入った10月末、再びシーズン途中の大型補強を行なった。

 秋野央樹、カイオ・セザール、二見宏志、亀川諒史、玉田圭司らJ2で圧倒的な選手層を武器に、リーグ序盤から首位を独走していた長崎だが、週2試合での連戦とアウェーゲーム先行のスケジュールで、チーム力は大きく消耗。攻守両方で故障者が増え、9月にはJ1自動昇格圏の2位以内からも陥落。この事態を受けてクラブはCBとFWの補強へと動き出した。

 どのクラブも連戦を戦う状況では、選手移籍の動きが鈍く、「J1を目指すチームの補強は、J1昇格を果たせる補強と、来季につながる補強を兼ねなければならない(手倉森監督)」とする選手を補強するのは容易いことではなかったという。そのなかで、親会社であるジャパネットグループの手厚い支援を受け、ACLとJリーグの外国籍登録人数の関係で横浜での出場機会を失いかけていたE・ジュニオと、C大阪で出番を得られずにいた庄司の獲得が実現した。

「DFの一角に名を連ねてほしい」
 
 獲得にあたって手倉森監督がそうコメントしたとおり、庄司に求められるのは、CBとしてコンスタントに出場できる安定感だ。リーグ屈指のCBである二見、後方からのフィードで最終ラインからの起点役も兼ねる角田。庄司には、CBの軸である彼らの負担を軽減させる存在となってもらわねばならない。

 対人の強さや早さだけでなく、フィードも得意とする庄司は、ポゼッションを指向するチームとの相性も良い。ミスが即失点につながるCBというポジションの特性上、合流直後で連係に不安がある中では、起用に慎重さが求められるだろうが、連戦が続く中で出番を得るのは間違いない。そこで期待に応える活躍ができれば、長崎の守備は安定感を大きく増すことができるだろう。
 

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