久保建英はなぜELで輝けたのか? 戦術アナリストが今後の可能性と課題を分析!「最適なポジションに、最強のライバルが…」【現地発】

2020年10月25日 アレハンドロ・アロージョ

パレホの不在が逆にプラスに

ELシワススポル戦で1ゴール・2アシストの活躍をみせた久保。(C) Getty Images

 久保建英がビジャレアル入団後、初めてスタメンを飾ったヨーロッパリーグのシワススポル戦。ウナイ・エメリ監督は連戦に備えて主力を温存したが、その指揮官のローテーション導入が結果的に久保に理想の環境を用意し、1ゴール・2アシストの活躍をもたらした。

 明らかになったのが久保は鋭いドリブルを武器にしているとはいえ、サイドに張り付かせる選手ではないこと。センターから右サイドにまたがるゾーンを幅広く動き回りながら、ボールを引き出し、前に向いてプレーしてこそ持ち味を発揮する。この日、4-3-3の右ウイングに配置された後半よりも4-4-2のセカンドトップに入った前半のほうが活躍を見せたのは必然であった。

 前述したように、エメリ監督の大幅なローテーション導入により、このシワススポル戦は、アレックス・バエナ、カルロス・バッカ、マヌ・トリゲロスと多くのバックアッパー格の選手がスタメンに名を連ねた。

 一見すると、久保にとってはマイナスに映る事態だが、実際はその逆だった。たとえばダニエル・パレホが中盤に君臨する状況では、久保も意識的にそのパスの受け手となるプレーが求められる。将来的には、バレンシアでのロドリゴ(現リーズ・ユナイテッド)がそうだったように、久保もパレホと強力なホットラインを形成する可能性もあるが、現状ではそこまでの信頼関係を築けておらず、チーム不動の司令塔の存在は自由を奪う要因にもなる。

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 しかしこの日はそうした制約から解放され、組み立てに顔を出しながら、攻撃を加速させるなど伸び伸びとプレーしていた。これはパレホに加え、ジェラール・モレーノも欠場したことで他の選手の意識が自然と久保に向いたこととも無関係ではなく、またその分、プレー範囲が広がり、臨機応変にポジションを変えながらボールを要求。カットインする時も、味方の選手と重なり合うような場面はなかった。

 エメリ監督は久保の起用法を見直すべきだろう。4-2-3-1を採用しないのであれば、トップ下のポジションは自ずとなくなるが、4-4-2におけるセカンドトップは大きな可能性を秘めている。ちなみにこの日の久保のポジションを4-2-3-1のトップ下と見なす向きもあるようだが、バッカとほぼ横一列に並んでいた守備時の配置を見れば、4-4-2のセカンドトップのほうがしっくりとくる。

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