吉田と冨安、CBコンビが見せた安心感はまさに闘莉王&中澤! オランダ遠征の一番の収穫は“欠かせないふたりの存在”

2020年10月14日 佐藤俊

両センターバックのパフォーマンスは出色の出来だった

吉田と冨安、ふたりのCBは今回のオランダ遠征で欠かせない存在となった。写真:龍フェルケル

 2010年南アフリカワールドカップで日本がベスト16進出を果たせたのは、直前にアンカーのシステムを取り入れ、守備的に戦うことで失点を防ぎ、勝点を最低でも1点、きっちりと奪うことに徹したからだった。

 ただ、こうした守備戦術に完全シフトすることを岡田武史監督に決断させたのは、守備を整備すれば、ワールドカップでなんとか戦えるという計算が働いたからでもある。その自信のベースになっていたのが、田中マルクス闘莉王と中澤佑二のセンターバックだった。

 このふたり、決してスピードがあるわけではないが、ボックス内に入れられたクロスボールはことごとく跳ね返し、地上戦では身体をぶつけ、相手を自由にさせなかった。ふたりの守備のコンビネーションもよく、その影響を受けて試合を追うごとに全体の守備が洗練されていった。遠藤保仁は、「ある程度クロスを入れられても、中を二人がしっかり締めているから大丈夫。センターバックが強いと守りのリズムが良くなって、攻撃にもいい影響を与える。佑二と闘莉王は、過去最強じゃないかな」と、日本の壁を絶賛していた。
 
 いい守備はいいセンターバックから生まれるものだと改めて感じた。

 今回のカメルーン戦、コートジボワール戦は、攻撃されていても落ち着いて試合を見ることができた。それは、南アフリカ・ワールドカップの時のように守備が機能し、とりわけふたりのセンターバックが安定していたからだ。とくにコートジボワール戦、吉田麻也と冨安 健洋、両センターバックのパフォーマンスは出色の出来だった。

 吉田の凄さを初めて感じたのはロンドン・オリンピックの時だった。オーバーエイジ枠として入り、持ち前のリーダーシップと守備の強さを前面に押し出し、最終ラインと守備の整備に尽力した。その影響力は非常に大きく、吉田に引っ張られたパートナーの鈴木大輔は、試合を追うごとに自信に満ちたプレーをするようになった。チームもブロンズメダルゲームまで進み、大会4位という好成績を残した。その後、アルベルト・ザッケローニ監督、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督、西野朗監督の代表時代は主力になり、吉田はそつなくプレーしていた。

 今回の2試合、吉田からはロンドン・オリンピックの時のような凄みを感じた。
 

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