“リアル南葛SC”のサポーターとスポンサー。自発的な活動で支える地元の仲間たちと描くクラブの未来

2020年10月13日 伊藤 亮

自分たちのクラブと思って自発的に活動を支えてくれるありがたきサポーターたちの存在

『キャプテン翼』原作者の高橋陽一先生の母校・四ツ木小学校でのイベントのひとコマ。写真提供:南葛SC

 クラブとして必須となる「地域密着」。地道で時間がかかり、かつ広範な活動を粛々と続ける南葛SCだが、そんな姿に感化されたのだろうか、自発的に支えてくれる存在がいる。

 ファン・サポーターやスポンサー企業。クラブが成長する要素として欠かせない彼らの存在が、南葛SCにとっても大きな力を与えてくれている。明るく楽しく、ともに盛り上がりながらクラブを地元に浸透させていく。

 きっと現在、Jリーグに所属するどのクラブも経験してきたであろう道のりの南葛SCバージョンとは、いかなるものか。前回に続き、田山義高GM補佐と社員でもある佐々木竜太選手に、活動の最前線を教えてもらった。

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「地域を盛り上げたい」。南葛SCは純粋な心意気で地域活動を加速させている。ただ、今年から社員選手を3名雇いマンパワーを増強させているとはいえ、オファーにくまなく応えらえるほどの体制が完全に整ったとはまだ言い切れない。今はコロナ禍によって活動が停滞しているとはいえ、地元で存在感が増し、関係性が広まり深まる今後、あらゆる案件が急増する可能性は高い。

 そこでありがたいのが、ファン・サポーターの存在だ。田山GM補佐が感謝を口にする。
「やはり下町人情なのか…サポーターの方々にすすんで手助けしていただけているのは本当にありがたいことで。自分たちのクラブと思ってくださっているんだと思います。クラブ職員とかサポーターというのは関係なく、垣根なしでやらせていただいています」

 今シーズンは非公開の試合が続いているので聞くことはできていないが、昨シーズン後半から南葛SCの選手たちのチャントが登場した。数々の横断幕を含め、これらはサポーターが自発的に作成したものだ。さらに、地元ラジオ「かつしかFM」の番組にも登場しクラブの魅力を語ってくれる。

「手分けして街中にポスターを配ってもらったり、昨シーズンなんかホームゲーム用のチラシを会場に来た方に配っていただいたり。試合日の人手が足りない僕らからすると本当に助かります」

 クラブが成長していく過程で、サポーターによる支援をなしに語れないという話はよく聞くが、南葛SCも例外ではない。そして人と人が近い下町の人間関係よろしく、サポーターと選手の距離感も近い。

 クラブの仕事ではアイデアマンとして活躍する選手社員の佐々木竜太が開催したイベントについて話してくれた。
「新型コロナの自粛期間中に2度ほど、インスタグラムとズームでファンミーティングを開催しました。公式ホームページで告知して、先着順にするなど条件がありましたが、選手も数名参加して。それぞれ1時間くらい話しました。僕は裏方に徹していたんですけど。"初デートに着ていく格好"をドレスコードにしたんですが、ズームとかだとバストアップしか映らない(笑)。あれは失敗でした」

 自粛期間中はリフティングシーンで動画を繫ぐ「南葛SC #StayHome 特別動画」にサポーターも出演(https://www.youtube.com/watch?v=JrdIZOMA8DQ)。微笑ましい動画は、選手・スタッフとサポーターが南葛SCというクラブを介して親密につながっている証だ。
「南葛SCを自分のクラブと感じてくださっているからこそでしょうが、サポーターの方々との関係性は今後も変えずにいきたいですね。もしカテゴリーが上がってクラブ規模が拡大したとしても」

 田山GM補佐の言葉は本音だろう。

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